採用を頑張っても若手がどんどん辞めていく……企業が今すぐ確認すべき3つの要素:QAで解説(2/2 ページ)
せっかく新卒採用を頑張っても、若手がどんどん辞めてしまい困っています。待遇も悪くないと思いますし、なぜこんなに離職が多いのか分かりません。若者の早期離職は、どうやったら止められますか?
どうすれば食い止められるか 企業に求められる3つのアクション
不景気時代や就職氷河期を生き抜いた世代からすれば「ただの甘えだ!!」「仕事をなめるな!!」と激怒したくなるかもしれませんが、多様化の令和時代に一昔前の価値観は全く通用しません。
それでは、どうやったら若者の早期離職は止められるのでしょうか? 会社としてどういった点に着目して対策や見直しをすべきか、それぞれのポイントを見ていきましょう。
心理的安全性を重視する
心理的安全性とは、組織の中で自分の意見を不安なく表現できる状態のことです。心理的安全性の高い組織では、自分の発言が否定されることがないため、メンバー間での意見交換が活発になり、コミュニケーションが良好になります。
また、失敗しても非難されたり責められたりしないという安心感が組織全体で共有されているため、積極的にチャレンジできる環境なのです。心理的安全性の確保できている会社こそ、若手社員がモチベーション高く成長していける組織になります。
キャリアイメージができることが大事
若手社員が自身のキャリアパスを見据えるためには、明確なキャリアプランが必要です。
会社の中長期ビジョンを示していくことで、従業員は会社がどのように成長していくのか理解できます。そして、それにあわせて「自分たちはどのように成長できるのか」とキャリアプランをデザインできるため、結果として若手社員が成長できる組織の環境が整っていきます。
若手社員の成長を促進するためには、明確な人材育成プログラムやスキルアップのための研修制度も重要なツールとなります。
また、将来の成功像をイメージさせるためには、会社で活躍している人の仕事ぶりや行動パターンなどを文書化しておくことも有効でしょう。またそれらを人事評価制度の評価要素に入れておくことで、仕事での活躍と評価がリンクするため、公平に人事評価することができます。
人間関係が何より一番大切
そして何より重要なことは日頃の上司との関わり合いでしょう。キャリアプランや人材育成プログラム、研修制度、人事評価制度といった成長土台を明確にしたうえで、実際の現場のマネジメントでは、明確な目標設定行い定期的な1on1を実施し、達成度をチェックしていきます。チャレンジして成功した場合には積極的に承認し、小さな成功体験を積み重ねて成長を実感させ、モチベーションアップを意図的作り出すのです。若手社員と良好な関係性をつくり、彼らの自己実現を支援するマネジメントすることが大きなカギとなります。
このような取り組みにより、組織全体で新人を育成し、若手社員および組織全体を「働かなければならない」から「働きたい」に転換させることで、若者の早期離職を食い止めることができるのではないでしょうか。
著者紹介:薄井 崇仁
2007年社会保険労務士法人 大槻経営労務管理事務所入所、特定社会保険労務士。
2017年3月執行役員に就任。採用定着士、ジョブオペ認定コンサルタント、仕組み経営コーチ等の資格も保有。
入社以来、HRコンサルタント・アウトソーシングスペシャリストとして様々な規模、業種の企業を150社以上支援。また、IPO・M&A領域では40社以上の企業に対して、労務監査及び労務コンプライアンスチェックを実施。
研修講師としても、大手企業の人事部門担当者向け講座を数多く開催し、人事担当者のスキルアップを支援。
クライアント企業様が安心してビジョンの集中できるよう、HR領域全般でサポートしている。
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