“見せつける”ようなデザインが避けられてる? 家電やファッションで進む「ロゴなし化」 シャープ、アップル、ユニクロの特徴(3/5 ページ)
家電やファッションで「ロゴなし」が進んでいる。背景には「クワイエット・ラグジュアリー=静かなぜいたく」と呼ばれるトレンドがあるという。
リンゴが消えたApple製品
リンゴのロゴが特徴的な米国・アップルも、新商品ではロゴなしが目立つ。主力のiPhoneやiPadは依然として背面にロゴがあるものの、ノートパソコンであるMacBook製品では、近年背面のロゴが光らなくなり、以前よりも目立ちにくいデザインとなっている。
ディスプレイの薄型化に伴う技術的な理由が主なようだが、デザイン面での目的もあるのかもしれない。その証拠に、デスクトップシリーズのiMacでは正面ディスプレイ下部にあったロゴを廃止している。
同じくワイヤレスヘッドフォンにもロゴはない。面積の小さいイヤホンタイプがロゴなしなのは理解できるが、耳を覆うヘッドフォン型は、刻印するのに十分な大きさがある。あえてロゴをつけないようにした意図を感じる。
若者を中心に、近年の消費者は派手なデザインを好まないようになっているため、アップルのロゴなし化はトレンドに対応する狙いがあるのかもしれない。MacBookの光るロゴが復活したとして、どの程度好意的なレビューが受けられるだろうか、確かに疑問ではある。
アパレル業界では「クワイエット・ラグジュアリー」がトレンドに
家電のロゴなし化に似た動きとして、アパレル業界ではクワイエット・ラグジュアリー(静かなぜいたく)が23年にトレンドとなった。Googleトレンドで調べると、世界では23年4月から、日本では同7月から注目度が急増している。
クワイエット・ラグジュアリーとはロゴやブランドを目立たせない高級ファッション、またはそのライフスタイルを指す。これ見よがしな高級感や派手さはないが、生地の質感は優れている、といったイメージだ。「静かな」というものの、着こなし方で高級感を暗示する狙いがトレンドの背後にあるようだ。世界的ハイファッション雑誌『VOGUE』のWebサイトで取り上げている数万〜十数万円のジャケットやパンツ、シャツなども、白や黒、ベージュなど目立たない色を基調としており、もちろん目立つロゴや文字はない。
クワイエット・ラグジュアリーがトレンドになったきっかけの一つに、米ドラマシリーズ『メディア王 〜華麗なる一族〜』があるといわれている。同作品は、世界的メディア企業の経営者とその家督相続バトルを描いたものであり、大富豪でありながらも大々的にロゴがないファッションを着こなしているのが話題となった。
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