“パクリ疑惑”続出のSHEINを、なぜ日本の若者は支持するの? ユニクロが訴訟を起こした根本的理由:磯部孝のアパレル最前線(1/7 ページ)
ユニクロは1月16日、模倣商品の販売停止などを求めて、SHEINブランドを展開する3社を提訴したと発表した。パクリ騒動が後を絶たないSHEINはなぜ、若者に支持され続けているのか。
ユニクロは1月16日、同社商品「ラウンドミニショルダーバッグ」を模倣した商品の販売が不正競争防止法に違反するとして、SHEINブランドを展開する「Roadget Business Pte. Ltd.」「Fashion Choice Pte. Ltd.」「SHEIN JAPAN」の3社を東京地方裁判所に提訴したと発表した。模倣商品の販売停止、約1億6000万円の損害賠償、遅延損害金の支払いを求めている。ここでの損害賠償とは、模倣商品を安く提供されたことによって、ユニクロが得られたはずの売り上げを指すとみられる。
プレスリリース内でユニクロは、「SHEINが販売する模倣商品の形態が当社商品の形態に酷似しており、模倣商品の販売がユニクロブランドと商品の品質に対するお客さまからの高い信頼を大きく損ねている」と説明している。
TikTokからバズったラウンドミニショルダーバッグ
ラウンドミニショルダーバッグはユニクロの人気商品の1つだ。500ミリリットルのペットボトルが入る大きさを基準にデザインされ、長財布も収納可能。鍵などの細々としたものとスマホを分けられるように、内ポケットが2つ付いている。また、たくさんのものを収納することを前提に、バッグ自体を軽くしている。
人気のきっかけは、英国の女性がTikTokへ投稿した43秒の動画。見た目にはそれほど大きくない三日月形のショルダーバッグから、大ぶりなヘッドホン、カメラ、財布などが次々と取り出される動画は、86万回以上再生された。
この動画がSNSで拡散され、欧州各国で度々完売。欧州では「バナナバッグ」、中国では「ギョーザバッグ」の名称で親しまれるラウンドミニショルダーバッグは、LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)グループが出資するファッション検索エンジン「Lyst」において、2023年1〜3月の「最もホットな商品」1位に選ばれた。その後、日本のメディアでも取り上げられて、国内でも人気に火がついた。
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