三井住友カードのクレカ投信積立で“大改悪” 5大ポイント経済圏の最新動向:「ポイント経済圏」定点観測(4/5 ページ)
企業が発行するポイントが消費活動に欠かせないものになってきた。多くのユーザーが「ポイ活」にチカラを入れているようだが、企業側はどのような囲い込みを図っているのか。最新動向をまとめてみた。
ポイント経済圏の現況
最後に5大ポイント経済圏の現況をまとめておこう。矢野経済研究所がまとめた国内ポイント市場調査によると、22年度のポイントサービス市場規模は約2.5兆円だった。これが23年度は2.6兆円、24年度は2.7兆円、25年度は2.9兆円と増加する見込みだ。
そのトップを走るのは楽天ポイントで、23年の年間発行ポイント数は約6500億にのぼる。この1年はSPU(スーパーポイントアッププログラム)の大変更もあり、発行額はほぼ横ばい。第4四半期だけ見れば前年を下回っている。それでも最も強固な経済圏を構築しているポイントだといえるだろう。
楽天ポイントをライバル視し、急速な追い上げを見せているのがPayPayポイントだ。22年度(22年4月〜23年3月)の発行ポイント数は6000億に達し、楽天ポイントが伸び悩む中、首位を狙う。ただし23年4月の発表を最後に、発行ポイント数の公表を行っていない。楽天ポイントを意識した発言も多い中、抜いたのであれば発表するように思うが、現状は不明だ。
ダークホース的に成長を続けているのが、NTTドコモが展開するdポイント。広報部によると会員数は23年12月末時点で約9900万人に達しており、23年の利用額は3561億ポイント。楽天などはポイントの使用率が90%以上、つまり発行したポイントの9割が利用されるとしており、同等の数字をdポイントにも当てはめると約3956億ポイントを発行していると推定される。楽天/PayPayの半分程度の規模まで迫っている。
歴史も長く多方面に浸透していると見られるのが、三菱商事系でKDDIも出資するロイヤリティ マーケティングのPontaポイントだ。元はローソンなどを中心とした共通ポイントだったが、19年にKDDIと資本提携しポイントを統合。現在はKDDIグループが担ぐポイントとなっている。
19年12月にau WALLETポイントとPontaが統合した際の発表会では、年間付与額が2000億円を超えるとしていたが、その後の発行額の公表はない。ただし「会員数は1億1495万人」(KDDI広報部)となっており、会員数だけでいえばdポイントを上回る(参照リンク)。
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