むやみな「THE MODEL」導入の落とし穴 失敗企業に共通する“犯人”とは(3/3 ページ)
セールスフォース・ジャパンが提唱するTHE MODEL、今や関連ある職種の方なら誰もが耳にしたことがあるだろう。しかし「THE MODELを導入したがうまくいかない」「THE MODELの分業体制で弊害が起こっている」など、最近は批判的な指摘も目立つ。THE MODELそのものが悪いのか、それともむやみに導入することが間違いだったのか、犯人探しをしていきたい。
成功のヒント
ここまで、明快なロジックと分かりやすい図解から、多くの企業が「これが正解のためのプレイブックだ」と誤解し、目的不在で導入が進んでしまうという「THE MODEL失敗の犯人」を紹介した。分かりやすい仕事術を紹介したという話のため著者に罪はなく、改めなければならないのは導入する企業側の姿勢にある。
THE MODELで失敗しない方法を考える以前に、むやみにトレンドワードやフレームワークに飛びつく姿勢はやめよう。あらゆる企業活動に有効な考え方はない。自社の方向性や課題感にあわせて、何が最適かを考えて、施策や手段を決めよう。
またTHE MODELの導入を考えるなら、分業の粒度、計測するデータ、導入するシステム、顧客の分類方法、コミュニケーション内容といった業務設計について、THE MODELの内容をうのみにするのではなく、あくまで参考にすることだ。THE MODELではこうしているが、自社はこうしたほうが良いのではないか、と考えることが重要である。
分業や計測自体はTHE MODELの戦犯ではない。米国企業ではむしろTHE MODEL以上に細かいセールスオペレーションを設計し、これに合わせた分業やセールステック活用が進んでいる。
THE MODELを前に思考停止するのではなく、今の自社の状況や、最新のセールスプロセスの考え方を整理して、最適な営業組織を作っていこう。
<後編:「ネクスト・THE MODEL」を考える 新時代の営業に求められる3つのアップデート>
筆者プロフィール:藤島 誓也 株式会社openpage代表
株式会社ビズリーチにて当時日本で一早くカスタマーサクセスチームの立ち上げを経験し、2018年株式会社openpageを設立。顧客取引のDXソリューション「openpage」を提供、米国流のカスタマーサクセスやセールステックについて最先端の情報を国内で広く啓蒙する。
著書に「実践カスタマーサクセス BtoBサービス企業を舞台にした体験ストーリー」(日経BP、2023年)
note::https://note.openpage.jp/
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YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCK8wRQksyxBKCVvZ2TNjV0Q
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