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部下を「叱る」のは難しい――「良い上司」になれる、叱り方のコツとは:働き方の「今」を知る(2/3 ページ)
組織で仕事をしていくうえで、部下を叱ることも時には必要となる。日々多忙な中でうっかりミスを起こしてしまった部下に対しては、ついつい感情的に怒ってしまう方も多いのではないだろうか。つい感情的になりすぎてしまう場合、どうしたらいいのだろうか。「良い上司」になれる、叱り方のコツとは?
「叱る」前に、注意すべき3つのポイント
さらに「叱る」場合にも注意しておきたい3つのポイントを、用例も踏まえながらご紹介していこう。
(1)相手の「人格」ではなく、「行動」を指摘する
(例)部下が提出物の期限を守らなかったとき
- NG「本当にいいかげんな性格だな!」
- OK「チームで決めた約束は守ってほしいんだ」
(例)部下が打ち合わせで決まったはずの約束事項を変更してきたとき
- NG「なんで取り決めを無視する!? お前はいつまでそんな無責任なんだ!」
- OK「何か事情があったのかもしれないが、一度決まったことを無断で変更されると、その後の対応にコストも時間もかかり、進捗中の案件にも影響も及ぶなど、他の皆にも大きな影響が出るんだ。これからは必ず事前に確認を取ってほしい」
(2)相手を責めるのではなく、自分の感情を伝える
(例)部下が自分の指示したこととは違う行動を取ったとき
- NG「なんでそんなことをするんだ!? ふざけるな!」
- OK「そういうことをされると、本当に残念な気持ちになるよ……」
(例)こちらから確認をしないと報告をしてこない部下に対して
- NG「おい! 進捗を共有しろと口酸っぱく言ってるだろう! いい加減にしろよ!」
- OK「●●くんから連絡がないと、進捗状況が分からなくて心配なんだ。他の仕事が滞ってしまうことにもなるので、進捗共有してくれると助かる」
(3)抽象的な表現を避け、具体的に伝える
(例)ほかの部員の手がふさがっているのに、部下が電話を取らなかったとき
- NG「皆忙しいんだから、電話ぐらいちゃんと取れよ!」
- OK「お客さまをお待たせすると印象がよくないので、電話が鳴ったら3コール以内に取ってほしい」
(例)何度指摘しても報告をしない部下に指導したいが、パワハラにならないように冷静に伝えたいとき
- NG「何回言えばわかるんだ!? 報告はキッチリやれと言っただろう!」
- OK「●●さん、報告は客先から帰ってきたら、その直後に私にしてくれないかな。社内での情報共有ができてないと、今後お客様に連絡するタイミングで見当違いな対応をしてしまい、不信感を与えてしまう可能性があるんだ。そして、何かトラブルが起きたときに部としての対処も遅れてしまうことがあるからね」
同じメッセージを伝えるにも、OK例のように具体的に、かつポジティブに言い換えることで、ニュアンスが大きく変わることがお分かりいただけるだろう。それによって部下は前向きに捉えられるばかりでなく、相手からの信頼度、親密度が増すことは間違いない。部下はあなたに面と向かって指摘できる人であるとは限らない以上、自分で意識し、改善を続けていくしかないのだ。
もちろん、日々多忙なビジネスの現場において、いちいちここまで手間をかけて言い換えるなど面倒だ、とのお考えもあろう。しかし、だからこそ他に実践している人はほぼおらず、あなたは「丁寧に向き合って諭してくれる上司」として大いに差別化できることになる。そうしてあなたの評判が高まれば、その姿勢は他の人たちにも伝播し、職場全体が「上司や先輩と気兼ねなくコミュニケーションがとれる、心理的安全性の高い雰囲気」になることも期待できるだろう。
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