なぜ営業スタイルの「型化」に失敗するのか 押さえたい2つのポイント:営業コミュニケーション大解剖(2/2 ページ)
営業マネジャーやメンバーが目標達成に向けて業務に取り掛かるにあたって押さえたい、チームの成果を最大化する2つのポイントを紹介する。
営業スタイルの型化はいかに進めるべきか
もう一つのポイントとして、営業スタイルの型化について説明していきます。先ほど確認した社内コミュニケーションは、どうあっても発生してしまうトラブルの影響を最小化するために重要でしたが、それと同時に、営業活動の理想的な進め方についてチーム内で共通認識が持てていることも、成果を最大化するためには必要となります。それをここでは「型」と呼んでいます。
これまで日本の企業では、営業担当者がそれぞれ独自の営業スタイルを確立していて、商談の発掘からクロージングまで全て1人で行うような営業手法が一般的でした。
しかし、近年では営業人材の不足などのネガティブ要因や、活用できるデジタルツールの発展などポジティブ要因の両面から、分業・標準化・顧客データ活用といったキーワードによって要約できる、チームセリングによる営業手法へ注目が集まっています。
そこでポイントとなるのが、扱う商材、顧客の特徴、チームの人員の状況などに適した型を見つけ出し、各自がそれに沿って営業活動を進めるやり方にシフトしていくことです。
営業スタイルの型化のメリットの一つは、多くの営業担当者がそれに沿って業務を進める中で、どんな時に成功・失敗しやすいのかに関する知見が蓄まっていくので、経験の浅い人や業務に集中しづらい事情を抱えた人であっても、要点を押さえた営業活動がしやすくなることが挙げられます。
ただし、自分たちの企業や組織にどんな型がフィットするか見極めることは容易ではなく、あらかじめ「これが合うに違いない」と思った型のほうに振り回されてしまう企業や組織が多いことも事実です。
こうした事態に陥らないために、いつでも型を見直して、新たなやり方を試していけるような柔軟性を確保する必要があります。この意味でも、社内コミュニケーションを円滑に行える環境を整えておくことは大切になります。
おわりに
以上お話してきたように、チームの成果を最大化するための両輪として、社内コミュニケーションと営業スタイルの型化はどちらも欠かすことができないものです。
今すぐに全てを変化させることは難しいかもしれませんが、まずは個々人の意識で変えていける社内コミュニケーションの改善から着手して、タイミングを見計らって、自社やチームに適した営業の型の検討もぜひ実施してみてください。
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