なぜ営業スタイルの「型化」に失敗するのか 押さえたい2つのポイント:営業コミュニケーション大解剖(1/2 ページ)
営業マネジャーやメンバーが目標達成に向けて業務に取り掛かるにあたって押さえたい、チームの成果を最大化する2つのポイントを紹介する。
4月になって少し経ちますが、読者の皆さまは、気持ちも新たに新年度の営業活動を開始した頃合いでしょうか。
この記事では、営業マネジャーやメンバーが目標達成に向けてそれぞれの業務に取り掛かるにあたって押さえてほしい、チームの成果を最大化する2つのポイントをお伝えしていきます。
一つは、チームの柔軟性や対応力を高めることに役立つ社内コミュニケーションの重要性について。 もう一つは、そうした柔軟性や対応力が発揮されやすい環境を整える意味で重要となる、営業スタイルの型化にフォーカスしていきます。
どちらも、営業がチームとして成果を上げるために欠かせないポイントです。順番に見ていきましょう。
筆者プロフィール:水嶋 玲以仁 グローバル・インサイト合同会社 創設者兼CEO
インサイドセールスの実務全般について、20年に及ぶ経験を持つ。そのうち16年間は、世界有数のIT企業でBtoB及びBtoCのインサイドセールス、営業チームの発展と管理業務に携わる(Dell で7年、 マイクロソフトで6年、Googleで3年)。
その後、JTB、NEC、ソフトバンクなど日本企業のコンサルティングの実績を持つ。
著書に「インサイドセールス究極の営業術」(ダイヤモンド出版)、「リモート営業入門」(日経文庫)、「実践営業デジタルシフト」(日本経済出版)。
メンバーを味方につけるための社内コミュニケーション
これまで筆者は、営業マネジャーやメンバーといった役割ごとに、営業活動で直面しやすいトラブルを解決するヒントを紹介してきました。
具体的には、営業進捗の報告時や、目標未達時、多様な背景を抱えて働く場合など、苦しいシチュエーションにおいてできるかぎりの成果を出して、前向きに働ける環境を確保するためのアイデアを伝えてきました。これらに通底するテーマは、社内コミュニケーションの重要性です。
コミュニケーションによってピンチを乗り切るというと、口先だけでごまかすやり方を連想して、良い印象を持たれない方もいるかもしれません。しかし、マネジャーやメンバー、ベテランや若手といったさまざまな立場の人が同じチームとして働いている以上、お互いがどんな考えを持っているのか想像し、それを踏まえた適切なコミュニケーションを行うことは、業務を円滑に進めるうえで不可欠となります。
ここで、上司と部下、それぞれの立場でのコミュニケーションのポイントをおさらいしましょう。
まず、上司の立場で部下とコミュニケーションする際は、世代や性別などの違いから、自身と仕事に対する考え方や心構えにギャップがある可能性を認識しておくことが、円滑なコミュニケーションを実現する第一歩となります。
その上で、上司として用事があるのは主に問題を抱えた部下でしょうから、部下の事情に寄り添ったコミュニケーションを心がけることが大切です。
一方で、部下が上司とコミュニケーションを取る際には、上司の人となりや意図を見極めたうえで、自らを過剰に不利にするような伝え方は避けるとよいでしょう。また、自身が苦しい時ほど、上司やチームの他のメンバーを味方につけるため、積極的にコミュニケーションを図ることも重要です。
こうした考え方は業務内でトラブルや困りごとが発生しなければ、あまり必要とされないものであり、そうしたことが起こらないような対策も当然重要となります。
しかし、細心の注意を払って営業活動に臨んだとしても、現実にトラブルは起こってしまうものです。その意味で、安定して成果を出せるチームにするためには、日頃からのコミュニケーションを通して互いをリカバリーしあえる関係を構築することが鍵となるでしょう。
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