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“勝ち手法”だった「インフルエンサーマーケ」 急激に失速した2つの要因日本のマーケティング最前線(3/3 ページ)

D2Cの“勝ち手法”だった「インフルエンサーマーケティング」が急激に失速した。「D2C」を取り巻く市場は厳しい中、企業は従来の「インフルエンサーマーケティング」の認識をアップデートする必要がある。

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「真のインフルエンサー」を探せ これからは「熱量」の時代に

 では、影響力のあるインフルエンサーに、自社製品を本当に気に入ってもらい、素晴らしいプロモーションにつなげるにはどうすればよいのだろう。

 インフルエンサーマーケティングという概念自体はもはや新しくないが、それを自社の戦略としてうまく活用し、事業を伸ばしている会社はまだそこまで多くないだろう。うまく活用できている会社とそうではない会社を分ける戦略の分岐点は何なのか?

 この答えはずばり、「インフルエンサーのインフルエンサーにファンになってもらうこと」だ。

 インフルエンサーの人数は有限とはいえ、一企業が全てのインフルエンサーにリーチするのは不可能だろう。また、インフルエンサーの多くはトラブル回避などを理由に、直接企業とやりとりせず、広告代理店を通してしか発注を受けない人も多い。

 そんな中で、この手の施策をうまく実施し、成功している企業が注力しているのは、インフルエンサーに影響力を持つインフルエンサー、つまり影響力の根源となるような人物に自社のファンになってもらうことだ。

 読者の皆さんは「インフルエンサーのインフルエンサー? どういうこと?」と思うかもしれない。

 当たり前だが、インフルエンサーはわれわれ以上に、競合となるインフルエンサーをSNSでしっかりサーチしている。

 そんな中で、消費者からの強い支持を持ち、企業案件を受けてもフォロワー数を減らさずアカウントを運用しているお手本のようなインフルエンサーは、その界隈でも強い発言力がある。

 このような強いインフルエンサーが紹介する製品やサービスは本当に信頼できると、インフルエンサー界隈ですぐに情報がキャッチアップされる。

 すると、これまではその製品やサービスをSNSで紹介することに抵抗を持っていたインフルエンサーも扉を開けてくれるようになる。他社よりも円滑にインフルエンサーによるPRが広がっていくのだ。

 このような戦略を取るためには、結局は強い影響力を持ったインフルエンサーに、ただの企業案件としてではなく、一製品・サービスとして本当にその良さを理解してもらう必要がある。「自分の大切なフォロワーにもPRとして紹介したい」という強い熱量を持ってもらうこと、すなわち“ファン”になってもらうことが一番の成功への近道なのだ。

 一見、きれいごとのように聞こえるかもしれない。しかし、情報があふれるこの時代において、マーケティングもその原点である「WHO(ターゲット顧客)に正しいWHAT(製品便益)を理解してもらうこと」が、顧客にも、インフルエンサーに対しても重要である。

 マーケティングエクセレントカンパニーと呼ばれる会社は、このような弛(たゆ)まぬ努力を続けることで他社よりも素晴らしいパフォーマンスを残しているということだ。

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