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「管理職は絶対にイヤ」 エンジニア組織で“昇進拒否”が多発、どうしたらいい?(2/2 ページ)

管理職になりたくない人が増えていることは、多くの企業に共通しているお悩みです。とりわけエンジニア職や研究開発職、編集・記者職など、専門性の高い職種では昔からその傾向が強いようです。専門職組織での管理職の育て方を考えます。

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プレイングマネジャーの時代

 筆者自身も、結果として管理職になりましたが、以上のような意義を感じることは実際にありました。また思った以上に、プレイヤーとしての専門性を発揮できる場面も多いように感じました。

 昨今の管理職はプレイヤーとしての業務を持ついわゆる「プレイングマネジャー」がほとんどです。これも筆者の所属企業が行った調査ですが、150人の管理職中、プレイヤー業務を持たないと答えたマネジャーはわずか2.7%しかいませんでした。

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Q:あなたの仕事をマネジメント業務とプレイヤー業務とに分けたとき、全体のなかでマネジメント業務が占める比率はどの程度ですか。(リクルートマネジメントソリューションズ『マネジメントに対する人事担当者と管理職層の意識調査』2023年)

 つまりどんな管理職でも、ほとんどの場合プレイヤー業務を多かれ少なかれ持つことになります。

 従来、プレイングマネジャーは良くないものであり、マネジャーはマネジメントに専念すべきであると言われてきました。しかしここまでプレイングマネジャーが増えている以上、プレイングマネジャーであることを前提とし、むしろその特性をポジティブに捉えてマネジメントを再考してみるとどうでしょう。

 変化の激しい時代だからこそ、プレイヤー業務を持ち専門性を磨き続けながらマネジメント業務も担うことが、管理職の一つの在り方として注目されます。このような管理職の在り方は、専門職志向の人にとっても、選択肢の一つとして考える価値のあるものではないでしょうか。

これからの管理職が身につけるべき「戦略的プレイング」

 リクルートワークス研究所が提言する「プレイングマネジャーの時代2020」によれば、すぐれたプレイングマネジャーの要件の一つとして「プレイング業務を戦略的に活用する」というスタンスがあります。高いチーム成果を実現するマネジャーは、プレイヤーとしての業務にメンバーの育成やコンディション把握など、複数の戦略的意図を持たせているというのがその内容です。

 もしあなたがエンジニアや専門職の多い組織を束ねる管理職で、次の管理職候補を育てようとしているのであれば、ぜひあなた自身が戦略的プレイングマネジャーになることをお勧めします。

 つまり、自分自身が管理職の仕事を面白がるところをメンバーに見せたり、管理職であってもプレイヤーとしての仕事の中で新しいチャレンジができることを示したりすることが、戦略的プレイング業務に当たります。

 管理職とはこうあるべきという像にとらわれず、自分自身の仕事領域における新しい管理職像を自ら実践し、後に続く人に示すことが、最も有効な管理職育成です。

著者情報:児玉結

リクルートマネジメントソリューションズ HRDサービス開発部主任研究員。広告業界などを経て2008年に入社し、以来一貫して企業向け研修など人材育成サービスの企画に従事。新入社員〜管理職まで、幅広い領域の企業研修の企画を担当。マネジメントやリーダーシップ、学習や成長といったテーマでの調査・研究も行っている。

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