アプリ統合で反転攻勢 「楽天ペイ」の“現在地“は? ポイント経済圏の行方:「ポイント経済圏」定点観測(2/5 ページ)
楽天ポイントという最強のポイントを持つにもかかわらず、リアル店舗での決済ではいまひとつ出遅れ感もあった楽天ペイ。反転攻勢に出ようとしているが、どのように?
楽天ペイの立ち位置
新戦略を打ち出した楽天ペイだが、現状の立ち位置を確認しておこう。主要コード決済サービスの会員数を見てみる。PayPayは6000万人(2023年10月時点)、d払いは5199万(2023年3月末)、au PAYは3438万(2024年3月末)、そしてメルペイは1683万人(2024年12月)となっている。しかし、楽天ペイはユーザー数を公開していない。
そこでインフキュリオンが2023年11月に行った調査から、各コード決済サービスの利用率を並べてみよう。調査対象の50%がPayPayを使っていると答えてトップ。そして楽天ペイは2位の23%につけた。
楽天ペイによると、ダウンロード数は昨年対比で64%増加した。さらに月間取扱高は76%増加したという。業界平均は37%なので「2倍速で伸長」(楽天ペイの諸伏勇人執行役員CMO)とアピールする。
PayPayなど他社が大型のキャンペーンを行い一気にユーザーを獲得したのに対し、楽天ペイはそれほどキャンペーンにコストを費やしてこなかった。これは、ほぼゼロから立ち上げなくてはいけなかった他社に対し、すでに楽天ポイントという強力な経済圏があったためでもあるだろう。そして、ちょうど同時期に楽天モバイルの立ち上げが重なり、他社のようには先行投資ができなかったという懐事情もある。
なかなか攻めに出られないもどかしさもあったものの、2023年12月には初めての単月黒字にもなり、攻勢に出るタイミングが到来したといったところだろう。
いずれにせよ、PayPayには遅れをとったものの、楽天ペイはおそらく2番手に付けており、良い立ち位置にある。小林社長は「今、相当良いポジションにある。高い成長率を維持している。最終ターゲットとしては1億以上を誇る楽天ID、そして3000万を超える楽天カード、楽天ポイント経済圏に親しんでいる方すべてに使っていただく水準を目指す」と話し、ここからの攻勢をにじませた。
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