生成AIで死者を“復活”させるビジネスは人を救うのか 指摘される懸念とは?:世界を読み解くニュース・サロン(3/4 ページ)
生成AIに画像や声などを学習させることで亡くなった人と対話できる、中国発のサービスが話題になっている。このようなサービスは世界各国で登場している。人々の心を癒やす効果がある一方、精神に害を及ぼす可能性や倫理的な問題も指摘されている。
世界各国で生まれる「死者をAIで復活」サービス
中国発の「亡くなった人を復活」させるサービスは、米国でもすでに登場している。
カリフォルニア州のストーリーファイル社では、亡くなった人とさまざまな対話ができるサービスを499ドルで提供。実際に、大事な人を亡くして落ち込んでいる人たちの心の支えになっているケースも報告されている。
こうした企業は米国でいくつも立ち上がっている。例えばある企業は、亡くなった女性の葬儀で、AIで復活させたその女性と参列者が対話できるサービスを提供した。亡くなった女性と、その本人の葬儀で「ビデオ通話」ができるなんて、感情的に揺さぶられて複雑な気持ちにさせられるサービスではないだろうか。
また別の企業は、生前にインタビューを何時間分か収録しておき、その人が亡くなった後で、その人と対話ができるサービスを提供している。その人の話し方や口調なども復活させることができる。インタビューで語られた内容が対話に反映されるので、なかなか深い話ができる可能性がある。
アマゾンが提供する「アレクサ」でも、亡くなった祖母の声で本を読んでくれるサービスなどがある。こうしたサービスはこれから世界中で増えていく可能性があるだろう。
米国以外でも、韓国では死者をAIで復活させるスタートアップ企業も出てきている。2020年に原因不明の病気で亡くなった6歳の女の子をAIで復活させて、母親と再会させるドキュメンタリーを制作して話題になった。台湾では有名ミュージシャンが、珍しい血液の病気で亡くなった22歳の娘を、生前の音声や画像を使ってAIで復活させたことが最近ニュースになっている。
ただこうしたサービスは、人を救っているのは間違いないが、同時に物議を醸している。
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