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「井上尚弥VS.ネリ」を独占配信 Amazonプライム・ビデオの狙いは?

Amazonプライム・ビデオは、5月6日に東京ドームで開かれる4団体統一世界スーパーバンタム級タイトルマッチ、4階級制覇王者の井上尚弥選手と、元世界2階級制覇王者のルイス・ネリ選手をメインカードとするイベントを独占ライブ配信する。

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 Amazonプライム・ビデオは、5月6日に東京ドームで開かれる4団体統一世界スーパーバンタム級タイトルマッチ、4階級制覇王者の井上尚弥選手と、元世界2階級制覇王者のルイス・ネリ選手(メキシコ)をメインカードとするイベントを独占ライブ配信する。歴史的興行を配信することによって、新規顧客の獲得を見込む。


5月6日に東京ドームで開かれる4団体統一世界スーパーバンタム級タイトルマッチ(プレスリリースより)

ドームでのボクシング世界戦は34年ぶり チケットは現状4万枚まで販売

 東京ドームでのボクシング世界戦はマイク・タイソン選手(米国)が1988と1990年に戦って以来となり、実に34年ぶりとなる。日本選手のメインイベント登場は史上初だ。大会を主催する大橋ボクシングジムの大橋秀行会長は5月4日、チケットがすでに4万枚以上売れたことを明かした。帝拳ジムの本田明彦会長によると「今回の入場料収入はこれまでの国内興行の2倍以上になる」という。

 当日は他のカードとして、井上尚弥選手の弟で、2月に初防衛を果たしたばかりのWBA世界バンタム級王者、井上拓真選手が、指名挑戦者の石田匠選手を迎えて行う2度目の防衛戦、ユーリ阿久井政悟選手対桑原拓選手のWBA世界フライ級タイトルマッチ、ジェイソン・マロニー選手(オーストラリア)対武居由樹選手のWBO世界バンタム級タイトルマッチと、4試合の世界タイトルマッチを配信する。


4試合の世界タイトルマッチを配信(Courtesy: Naoki Fukuda)

 プライム・ビデオは、これまで非常に好調な視聴率を獲得してきた「Prime Video presents Live Boxing」の第8弾としての配信となるだけに、大会前のPRに余念がない。

 4月22日からは井上尚弥選手とルイス・ネリ選手を中心に、出場選手の試合にかける思いや裏側に迫るドキュメンタリー番組やトークバラエティーを配信。ファンの熱量を高めてきた。


Amazonプライム・ビデオでは、出場選手の試合にかける思いや裏側に迫るドキュメンタリー番組やトークバラエティーを配信

熾烈な競争 差別化の要点は?

 定額制動画配信(SVOD)では熾烈(しれつ)な競争が続く。GEM Partnersの調査によると、2023年の国内シェアはNetflixがトップ(21.7%、前年比-0.6ポイント)。2位は成長を続けるU-NEXTが堅持している(15.0%、前年比+2.4ポイント)。プライム・ビデオ(12.9%、前年比+1.1ポイント)は、2022年にU-NEXTに抜かれて以降3位のままではあるものの、前年からシェアを拡大した。

 ユーザー獲得のために、各社が注力するのが独自コンテンツだ。プライム・ビデオは、2023年3月に「2023 WORLD BASEBALL CLASSIC」の決勝戦(米国代表対日本代表)を配信。日本でサービスを開始した2015年以来、配信初日の視聴数で日本歴代1位を更新した。

 プライム・ビデオは動画配信専業ではなく、小売り事業では会員の商品購入に対して配送特典などを提供している。ITmedia ビジネスオンラインが2023年に実施したインタビューで、児玉隆志プライム・ビデオ ジャパンカントリーマネージャーは「動画配信専門サービス専業の企業とは、異なるビジネスモデルだと思っていて、このビジネスモデルの違いそのものが差別化要因」だと話していた。

 動画や音楽の配信、小売りビジネスと幅広い事業を擁する“プライムファミリー”の中でも重要な役割を担うプライム・ビデオ。今回のボクシング4大世界戦のような他社では視聴できないコンテンツを配信することは、非常に重要な差別化戦略となりそうだ

 「ボクシングの面白さには『対戦の妙』があります。(対戦カードによっては)野球、サッカーに負けないほどのコンテンツに変化します。これは野球のペナントレースなどと違って自由度がとても高く、私たちにとって非常に魅力的なのです」(児玉氏)


左から井上尚弥選手、大橋秀行会長、トップランクのボブ・アラムCEO(Courtesy: Naoki Fukuda)

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