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原宿は若者と文化を取り戻せるか 新ランドマーク「ハラカド」に足を運んで分かったこと長浜淳之介のトレンドアンテナ(7/7 ページ)

原宿の新たなランドマークとして東急不動産がオープンした「ハラカド」。実際に足を運び、その魅力や注目のポイントを解説していく。

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聖地にするには住環境の整備も重要

 以上、ざっとハラカドの概要を見てきたが、銭湯やデザイン事務所が入居するなど、原宿をかつてのような、文化発信の場所に再活性化しようという意欲が見える。利用者にはリピーターとなってもらい、これからの原宿の変化を見届けてもらいたいと企図しているようだ。

 フードコートには酒のそろったドリンクスタンドもあって、居酒屋的なポジションを志向している。風呂や酒の力も借りて、常識的な発想を打ち破れないか。クリエイターと住民、観光客の壁もなくして、集う者みんなで、創造的なことができないか。そういう願いがこもったユニークな商業施設でもある。

 ただし、DCブランドが勃興してきたころの原宿は、まだ街が閑散としていて家賃も安かった。売れる前の収入が低い若手のクリエイターでも、原宿で暮らせたのだ。比較的物価の安い高円寺なら今も暮らせるから銭湯が存続できるが、今の原宿は既に売れてリッチになった人しか住めない。だから家賃がまだ安い、墨田区、江東区、東急世田谷線沿線などに若者は行ってしまうのだ。

 ケロリンの桶を持って、神宮前交差点を渡り、銭湯に通う人は想像しにくい。原宿をクリエイティブの聖地にするには、クリエイターの卵たちが住めるような住環境の整備が求められる。ぜひこの点も、東急不動産に期待したい。


ヒトツブカンロで人気のグミッツェル

1階、HINEMOS。日本酒に新風を吹き込む

G階、バーから生まれたアパレルのCASBA

ジェラートのジョリッティ。本店はローマで有楽町、渋谷に店がある

ベトナム料理、バインミー・サンドイッチ

中東のビーガン料理、ファラフェルブラザーズ

【2024年5月8日午後1時、一部写真の位置が間違っていたので修正しました】

著者プロフィール

長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)

兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。著書に『なぜ駅弁がスーパーで売れるのか?』(交通新聞社新書)など。


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