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生成AIでCM制作、費用4割削減 沖縄の地銀が挑んだDXの一歩とは?(1/2 ページ)

「このCMはAIを用いて作成しています」。沖縄県に拠点を置く沖縄海邦銀行が、生成AIを活用して企業CMを制作した。金融機関としては初めてだという。その狙いとは――。

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 沖縄県内で流れていた、こんなテレビCM。かわいらしいCGアニメで描かれた、トロピカルな雰囲気の小島、カラフルなサンゴ礁、森の妖精たち。波の音に重なる三線の音色。「海と、緑と、共に。」のキャッチフレーズは、沖縄の豊かな自然を守る大切さを訴えかけている。そんなCM作品の画面右下には、こんな1行があった。「このCMはAIを用いて作成しています」

 制作したのは沖縄海邦銀行。沖縄県に拠点を置く地方銀行だ。キャラクターデザインもアニメーションもBGMもナレーションもほとんどを「生成AI」で制作。同行によると、金融機関としては初めての試みだ。2023年11月から2024年4月末まで放送された。

 同行の総合企画部 戦略企画担当の阿部三枝子さんは「堅いイメージがある金融機関が生成AIを活用することで『新しいことをする銀行』という期待感を持っていただけたのではないか」と企業ブランディングの面からもメリットを語る。

 実はこのCMの存在自体が、沖縄の中小企業に向けて前向きなエールも発信していた。沖縄海邦銀行の取り組みを紹介する。


生成AIを活用したCM制作プロジェクトのポスターを手に笑顔を見せる沖縄海邦銀行の阿部三枝子さん(右)と新里康さん(4月24日、那覇市の沖縄海邦銀行本店)

著者プロフィール:長濱良起(ながはま よしき)

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沖縄県在住のフリーランス記者。音楽・エンタメから政治経済まで幅広く取材。

琉球大学マスコミ学コース卒業後、沖縄県内各企業のスポンサードで2年間世界一周。その後、琉球新報に4年間在籍。

2018年、北京に語学留学。同年から個人事務所「XY STUDIO」代表。記者業の他にTVディレクターとしても活動。

著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(編集工房東洋企画)がある。


生成AIで従来のCM制作費の4割を削減

 冒頭のCMは「SGDs編/海と緑と共に」。他にも近未来なイメージを前面に押し出した「近未来編/沖縄の未来」、カラフルなキャラクターたちが登場してビーチで踊る「多様性編/カイホーしてる?」の全3編のCMを制作。

 これらの作品はYouTubeの「沖縄海邦銀行公式チャンネル」で公開されており、どれも10万回再生以上されており、他の地方銀行のCMと比較しても高い注目を集めていることが分かる。


沖縄海邦銀行が生成AIを用いて制作したテレビCMのワンシーン(「沖縄海邦銀行公式チャンネル」より)

 実際の制作は、Webサイト制作などを手掛けるOTOSO(東京都世田谷区)と共に行った。制作で活用したのは、米Runway(ランウェイ)のサービス「Gen-2」。同サービスは、画像や文字を基にして動画を作ることができるもので、キャッチフレーズは「No lights. No camera. All action.」。一切の照明やカメラなどの機材がなくとも動きのある映像を作ることができる。

 その結果、CMの制作費はこれまでの4割ほど削減ができた。「出演者や技術スタッフがAIに代わるため、スケジュール調整も簡単です」と阿部さん。

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