「外国人嫌いの国は経済が停滞する」は本当か いや、日本には当てはまらないシンプルな理由:スピン経済の歩き方(1/7 ページ)
米国バイデン大統領が「日本は外国人嫌いで移民を望んでいない」などと発言したが、日本の移民受け入れ状況は実際のところどうなのか。経済との関連性を見ると……。
「どうして中国は経済的にこれほどひどく停滞しているのか。どうして日本は大変な思いをしているのか。ロシアはどうして? インドはどうして? この国々は、外国人を嫌っているからです。移民に来てほしくないから」
5月1日、こんな感じで米国のバイデン大統領から「外国人嫌い」(xenophobia:ゼノフォビア)の国として名指しでディスられたことで、愛国心あふれる人々がブチギレている。
ご存じのように、日本のテレビは「日本の◯◯は世界一」「今度生まれ変わったら日本人になりたい」という感じの“親日外国人”が大好きだ。ニュースでも基本的には「米国人が大谷翔平の活躍に熱狂」とか「岸田首相がホワイトハウスで爆笑をかっさらって人気者に」みたいに「日本スゴい報道」がメインとなっている。つまり、「外国人に自国の悪口を言われる」ことへの耐性があまりない。
それに加えて、日本人の多くが「人権のない国」と“下”に見ているロシア、中国と同一視されたことで、「西側諸国の一員」「米国の盟友」というプライドまでズタズタに傷つけられた。そのため売り言葉に買い言葉ではないが、「移民で治安と雇用がボロボロの国に言われたかねーよ」「裏で陰湿な人種差別をしている白人至上主義のくせに」と反米感情につながってしまっている人もいるのだ。
さて、そういうナショナリズム的論争はさておき、ビジネスパーソンの皆さんが気になるのは、バイデン大統領が主張している「ゼノフォビア(外国人嫌い)の国は経済が停滞」しているのは本当なのか、ということではないか。
確かに「移民排斥」が問題になっている西側諸国では、インテリ知識層がバイデン氏と同じことを盛んに主張している。例えば分かりやすいのは、『ロイター通信』が2023年5月8日に報じた「アングル:移民に厳しいイタリア、高学歴スキル認めず低成長に拍車」という記事だ。
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