コラム
なぜカスハラが増えているのか 2つの要因:企業姿勢が問われる(1/4 ページ)
カスハラは従業員の精神を蝕む。カスハラを放置すれば企業の存続を脅かすことになる。経営者はしっかりと認識すべきだ。
日沖博道氏のプロフィール:
パスファインダーズ社長。30年にわたる戦略・業務コンサルティングの経験と実績を基に、新規事業・新市場進出を中心とした戦略策定と、「空回りしない」業務改革を支援。日本ユニシス、アーサー・D・リトル等出身。一橋大学経済学部、テキサス大学オースティン校経営大学院卒。
顧客が企業の従業員に理不尽な要求をするカスタマーハラスメント(カスハラ)が社会問題化している。
カスタマーハラスメントとは、顧客による店員やサービス提供者への過度な要求や無理なクレーム、威圧的な態度、不当な扱いなどの行為のこと。「カスタマー(顧客)」と「ハラスメント(嫌がらせ、迷惑行為)」を組み合わせた造語だが、和製英語ではなく立派に世界で通用する(しかし「企業の従業員が泣き寝入りする割合」を考えると、日本でこそ注目されるべきだろう)。
カスハラの事例は対応企業事例などで公開されているし、SNSなどでも結構見ることができる。それらは氷山の一角と云えようが、それでも多様な業種の従業員がひどい目に遭っていることは分かる。なかには「嫌がらせ」「迷惑行為」のレベルをとっくに超えて「犯罪行為」としか言いようがない例も少なくない。
ただしカスハラを行っている当人としては「迷惑行為」と認識しているケースは少なく、その大半は「正当なクレーム」だと認識していると考えられる。つまり「企業側が間違っているから問題点を指摘してあげて、改善を要求しているだけだ」という認識なのだから厄介だ。
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「カスハラ」の実態 クレーム対応者はどんな被害を受けているのか
エス・ピー・ネットワークが企業のクレーム対応担当者に実施した調査によると、直近1年間で「カスタマーハラスメント(カスハラ)」を受けた人が6割を超えた。小売業などでは、執拗な言動や威圧的な言動をされた経験者が過半数となっている。
