ドラッグストアの卵はなぜ安いのか? 「トモズ」データ戦略の裏側:コロナ禍から復活(5/5 ページ)
都市型ドラッグストアを展開するトモズ。都心部に集中展開しているだけに、コロナ禍では大きな打撃を受けた。データドリブンの戦略によってどう立て直したのか。CDO渡瀬氏に聞く。
「都市部かつ小規模」だからこそやらなければならないこと
――トモズの今後の展望について教えてください。
ドラッグストアとしての専門性を高めることは重要ですが、同時に利便性の向上にも注力していく必要があります。
例えば、インバウンド需要に対応するため免税対応を行っているなら、人気のあるインバウンド向けの商品も取り扱うべきです。過去には、ドラッグストアは健康関連商品を扱う「ヘルスケア」の場所と考えられていましたが、そうした認識は変わってきています。売れ筋商品はきちんと取り扱う必要がある、と考えています。
加えて、一人一人の顧客に合わせたサービスとご提案を強化したいと考えています。かかりつけのクリニックやかかりつけ薬局に加え、私たちは「かかりつけドラッグストア」というコンセプトを推進しています。
薬局としての基本的な役割である、薬の服用指導や薬をお渡しした後のフォローアップは当然重要です。一方で、薬を処方される方も化粧をしたり、予防医学的な取り組みを求めたりする場合もあります。
サプリメントなどについては、かかりつけの概念を広く認知してもらえるよう、カウンセリングやアドバイスを行いたいと考えています。化粧品担当者や管理栄養士による、気軽な栄養相談なども提供できればと思います。
そうしたニーズのある顧客には、しっかりと寄り添いアドバイスをします。一方で、プライバシーを重視する顧客もいるでしょう。そういった顧客には、押し付けにならないよう細心の注意を払い、一人一人にあった対応をしていきます。
また、今は高齢の方でも多くの人がスマホを使っています。「高齢者はスマホを持たない」という空気感が、ここ数年で変わりました。都市部はその移り変わりの速さが顕著であり、高齢の方でもトレンドに敏感で新しいもの好きが多いです。キャッシュレス比率も6割を超えていますし。
トモズは都市部にドミナント出店しており、かつ展開規模が小さいからこそ施策を早く実行できます。こうした意思決定の速さと機動力の強みを生かしていかなければならないと考えています。
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