雑貨市場のZARA? 2年で1.9倍に急成長した「3COINS」が実践する売れる仕組みとは(3/3 ページ)
「3COINS」は300円商品を中心にデザイン性の高い生活雑貨やインテリアを取りそろえるブランドで、20〜30代の女性を中心に人気を博しており、売上高も直近2年で1.9倍と急成長しています。ただ、雑貨自体は業態としては昔から存在しており、無印良品やダイソーが展開するStandard Productsなどの競合が存在しています。この競争の激しい雑貨市場でなぜ3COINSが急成長できたのか、その売る仕組みについて分析していこうと思います。
コアコンピタンスは「トレンドへのキャッチアップ力」
上記3つは非常に優れた面白い仕組みですが、これらを可能にしているのはいずれも魅力的な商品を供給し続けられるトレンドへのキャッチアップ力だと考えられます。来店頻度を高める売り場作りは言わずもがなですが、SNSでたびたび拡散されるのもデザイン性やコスパの高いプロダクトあってこそです。
このトレンドへのキャッチアップ力は、はやり廃りの競争の激しいアパレル事業で磨かれたものだと考えられ、これこそが同社のコアコンピタンスではないでしょうか。表面的な新商品の投入やSNS戦略などを模倣しても、クオリティーを維持できず不良在庫が積み上がり、SNSで話題になるよりも先に業態として成立させることすら難しいでしょう。
一般に企業の強みは顧客接点や保有しているブランドなど分かりやすいものが中心に語られがちですが、トレンドへのキャッチアップ力という模倣が難しいアセットを本業で作り出し、別の業界に持ち込んだ事例として3COINSは非常に面白いですね。
私の最寄り駅にも出店され、見かける機会も直近増えており引き続き好調に見えます。3COINSの今後の成長を引き続きウォッチしていこうと思います。
本記事はtheLetterでのもやしさんの執筆記事「雑貨市場のZARA「3COINS」が2年で1.9倍に急成長した売れる仕組み」(2024年4月9日掲載)を、ITmedia ビジネスオンライン編集部で一部編集の上、転載したものです。
著者プロフィール
もやし
コンサルファームを経て、スタートアップでマーケティングや顧客データの分析に従事。ECやFintechを中心にtoCスタートアップのGrowth戦略・ビジネスモデルについて分析している(toC Growth letter)。Xアカウント。
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