“インバウン丼”と呼ばないで――1杯1万円超の海鮮丼が話題の豊洲「千客万来」、運営企業が漏らした本音:実態は(3/3 ページ)
メディアによる切り取った報道に、現地は困惑しているようだ。
「インバウンドなど特定の層に向けた施設ではない」 客の9割が日本人の店舗も
万葉俱楽部とのやりとりで印象に残ったのは「(千客万来は)インバウンドなど特定の層に向けて作られた施設ではなく、近隣の居住者、国内旅行者、インバウンドの皆様など、全てがお客さまとなっております」というコメントだ。
確かに、インターネット上で確認できる、千客万来への出店者を募る資料には、施設が想定するターゲットとして「豊洲市場を訪問する国内外の観光客」とともに「江東区を中心とする近隣の居住者・ワーカー」「豊洲市場関係者」が示されている。
実際、日本人から評価を博している店舗もある。例えば、エイチ・アイ・エスが運営する「海鮮バイキング いろは」はその一つだ。辻水産と万葉俱楽部には取材を断られてしまったものの、エイチ・アイ・エスには話を聞くことができた。
海鮮バイキング いろはは、正式営業前のプレオープンに際して「CAMPFIRE」でクラウドファンディングを実施。プレオープン時に食事できる優待券や、正式オープン後の優待券などで募集したところ、975人から応募があり、目標額の100万円に対して827%となる、827万6000円を集めた。支援者のほとんどは日本人だったといい、当初から国内観光客の注目を集めていたことが分かる。
その後、オープン以降の客層も9割が日本人だという。オープン当初に設定していた集客目標に対して1.6倍ほどで推移しており、満席率は90%ほどと上々の滑り出しを見せている。中でもランチタイムの団体予約が絶好調で、年内までかなりの枠が埋まっている。
SNSなどでインバウン丼が話題になり、訪日客向けのイメージが広がる一方で、実際には国内観光客の支持を集めている千客万来。別記事では、5月下旬の平日に実際に足を運び、オープンから3カ月が経過した今、どのような客層が千客万来を訪れているのか。また、話題になった高価な海鮮丼を実際に食べてみて感じたことなどをまとめている。ぜひそちらも合わせて読んでいただきたい。
著者プロフィール:鬼頭勇大
フリーライター・編集者。熱狂的カープファン。ビジネス系書籍編集、健保組合事務職、ビジネス系ウェブメディア副編集長を経て独立。飲食系から働き方、エンタープライズITまでビジネス全般にわたる幅広い領域の取材経験がある。
Xアカウント→@kitoyudacp
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