1杯約1万円の“インバウン丼”話題の「千客万来」 現地で見えた、高価でも売れる意外な実情:実食(1/5 ページ)
果たして、実際に“インバウン丼”は注文されているのか、またそれは外国人ばかりなのか――。
2月にオープンした「豊洲 千客万来」(以下、千客万来)。オープン直後は、一部店舗で販売している1杯数千円〜1万円超の海鮮丼が“インバウン丼”として話題を呼んだ。果たして、実際にそうした海鮮丼は注文されているのか、またそれは外国人ばかりなのか。
こうしたインバウン丼を巡る事情を取材しようと、千客万来を運営する万葉俱楽部や海鮮丼を提供している企業に連絡したものの、取材NGとのこと。そこで本記事では、5月下旬の平日に千客万来で現地取材をして、どのような客層が来場しているのかなども交えて確かめた内容をお届けしていく。
当初1800円だった定食が2500円に 確かに価格相場は「お高め」
千客万来を訪問したのは、5月下旬のとある平日。車で向かい「東京豊洲 万葉倶楽部」専用駐車場に停めた。入り口に近い車室にもチラホラと空きがあり、多くの人はゆりかもめや都営バス、東京BRTといった公共交通機関で訪問していると思われる。なお、こちらの他にはゆりかもめ「市場前駅」側に「豊洲 千客万来」専用駐車場もあり、施設としては相応に車での来場を見込んでいるのだろう。
千客万来は「食楽棟」と「温浴棟」で構成されている。前者は江戸の街並みを再現した商業施設で、市場に隣接しているという立地をウリに、食材を販売する店舗や飲食店がテナントとして入居している。後者は24時間営業の温浴施設として、東京湾を望める露天風呂に展望足湯庭園などをウリにしている。
今回は主に、食楽棟を実地取材した。まずは1階から見ていく。1階は「豊洲江戸前通り」として、主に都道484号線に沿ってイートインの飲食店が並んでいる。業態としてはラーメンに和食、ハンバーグなどがあり、ラーメンを除くと基本的に価格帯は2500円以上の商品が多い。
ある店のメニューをよく見ると、もともと1800円だったアジフライ定食に上からシールを貼り、2500円に価格改定していた。周囲の相場に合わせたのだろうか、いずれにしても「この価格でも売れる」と判断するほど来場者の金払いが良いということなのだろう。
とはいえ、昼時にもかかわらずどの店も混雑している様子はなく、客足はまばら。しいていえば、ソフトクリームを販売している店のイートインスペースが最も賑わいを見せていた。このフロアは日本人が多く、一般的な価格相場と比較して強気の店が目立つことから、食事ではなく軽食に利用する人が多いのかもしれない。
看板がトレードマークの青ではなく、景観に配慮した茶色仕様のローソンも営業しており、主に訪日客向けとおぼしきおみやげ類の商品が多く並んでいた。
中でも訪日客に人気が高いとされるキットカットが、目立つ位置に並んでいる点は印象的だ。レジは5つあり、そのうち1つは有人対応専門、2つは有人とセルフの双方に対応したもの、残り2つは完全にセルフ用のもの。国内外を問わず、見たところセルフレジを利用する人は少なく、有人レジが常に行列といった状況だった。
なお、ローソンの前には施設案内のパンフレットがあり、見たところ日本語のものだけしかなかったのは意外だった。
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