1杯約1万円の“インバウン丼”話題の「千客万来」 現地で見えた、高価でも売れる意外な実情:実食(2/5 ページ)
果たして、実際に“インバウン丼”は注文されているのか、またそれは外国人ばかりなのか――。
「観光地価格」が目立つものの、日本人お断りな空気はない
1階と比較して、より賑わっていたのが2〜3階だ。
2階は屋内に食材を販売する店やカウンター席などでイートインできる飲食店が並ぶ「目利き横丁」と、屋外で主に食べ歩きを想定している店が並ぶ「豊洲目抜き大通り」で構成される。訪問した日は土日祝ではなかったものの、かなり人が多い。いずれのスペースも道幅が狭いこともあって、実際にいる人数以上に賑わいを感じる。
ざっと歩きながら見たところ、客層は日本人と外国人のどちらかが過度に多いというわけではない。とはいえ、日本人の方が多いように見受けられる。
「銀だこハイボール酒場」が1本1000円の和牛串を販売していたり、その他にも1000円以上の串焼きをする店舗があったり、一見すると観光地価格に感じる店が多いものの、日本酒の飲み比べが5杯で2000円、から揚げが600円など、よく探せば過度に高い店ばかりではない。高価格帯の商品が目立つ店舗でも、松竹梅戦略的に安価な商品があるため“日本人お断り”の雰囲気は感じなかった。
もちろん中にはインバウンド需要を意識していそうな店もある。例えば、ゆりかもめ・市場前駅からペデストリアンデッキで移動する動線の「玄関口」に当たる場所の寿司店は、外国語が目立つメニュー構成や、まぐろの寿司が8貫で5000円ほどと、どちらかといえば国内よりも訪日客を意識している印象を受ける。
その他、刃物店では数万〜30万円ほどの包丁を販売していた。わざわざ国内から豊洲のここまで来て包丁を買う人は少ないだろう。しげしげと商品を眺めているとスタッフが声掛けをしてきて、名札を見るとおそらく中国人。外国語対応も万全と思われる。
まとめると、確かに訪日客向け的な価格設定の商品はあるものの、日本人でも楽しめる、間口の広いエリアといえる。最初に見た1階で営業している各店舗が、思いのほか人影もまばらだったことと対照的に、かなり活気があった。多くの人はゆりかもめ・市場前駅から直結のペデストリアンデッキを歩いてくると思われることから、こうした“フロア格差”が生まれているのかもしれない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
“インバウン丼”と呼ばないで――1杯1万円超の海鮮丼が話題の豊洲「千客万来」、運営企業が漏らした本音
メディアによる切り取った報道に、現地は困惑しているようだ。
やよい軒が“ロボ化”してまで死守した「ご飯おかわり自由」
コロナ禍でライフスタイルが変容する中、大手外食チェーンが「朝食」の時間帯を狙った戦略を展開する。やよい軒では、2006年の創業時から朝食メニューを提供している。メニューの開発経緯や戦略について運営企業に取材した。
「580円の朝焼肉」誰が食べている? 焼肉ライクが開店を“4時間”早めてまで始めたワケ
焼肉ライクは「朝焼肉セット」という朝食メニューを2020年8月から展開している。コロナ禍で時短営業を余儀なくされ、「朝の時間帯」に活路を見出したのがきっかけ。今はどのように利用されているのか取材した。
「朝モス」利用者、実は40〜60代がボリューム層 そのコンセプトは
大手外食チェーンを中心に「朝食」の時間帯を狙った戦略を展開している。モスバーガーは2014年から「朝モス」を本格的に導入しており、現在では朝食の時間帯の売り上げが全体の約1割を支えているという。朝モスはどのような経緯で始まり、どんなメニューが人気なのか。運営企業のモスフードサービスに取材した。
肉2倍の「夜マック」に見る、マクドナルドのディナー戦略
コロナ禍をきっかけに、ライフスタイルや食生活は変容している中、大手外食チェーンは特定の時間帯に絞ったメニューを開発し、展開している。今回は日本マクドナルドに、「夜マック」の導入経緯や人気商品、想定するターゲットについて聞いた。
