1杯約1万円の“インバウン丼”話題の「千客万来」 現地で見えた、高価でも売れる意外な実情:実食(3/5 ページ)
果たして、実際に“インバウン丼”は注文されているのか、またそれは外国人ばかりなのか――。
「1杯約2万円」の超高級海鮮丼も 安い店でも客は殺到せず
さて、件の“インバウン丼”を提供している店が多く営業している3階へと足を運ぶ。3階は「よりどり町屋」と称するフードコートをメインに、エイチ・アイ・エスが運営する「海鮮バイキング いろは」も営業している。
1階にも8000円弱の海鮮丼を販売している店舗があったが、この日に現地で確認できた最高値の海鮮丼は、この3階で営業する「築地うに虎」の「皇帝」なる一品だった。
その価格は何と、1万8000円。100グラム超の生うにの他、本マグロの大トロ・中トロが乗ったメニューである。
他にも店外に設置しているメニュー看板には、5000円〜1万円ほどと高価な商品が並ぶ。この皇帝を実際に注文している人がいるかまでは確認できなかったが、カウンターメインの店舗を外から見たところ、10人ほどが食事をしていた。一見すると当然「高い」のだが、しっかりと需要にマッチしていることが分かる。
反対に、確認できた中で最も安かったのは「築地海鮮 虎杖」のネギトロ丼で、1000円。しかし、(相対的に)安いからといって客が殺到している様子はない。
うに虎もそうだが、3階のフードコートは高価な商品を提供している店舗に客が付いており、反対にうどん・そば、肉関連など、安価な商品を販売している店舗は空いている印象を受けた。豊洲市場に隣接している立地もあり「どうせならば海鮮を食べたい」と考え、また江戸風な独特の雰囲気で特別感を抱き財布のひもが緩む客が多く、その需要に対して的確な商品構成とプライシングができている結果だろう。
とはいえ、気になるのは味である。需要にマッチしたマーケティングができていても、味が良くなければリピートや口コミにつながらず、最終的な満足度も低下する。僭越(せんえつ)ながら筆者は食レポなどの仕事もさせていただいていることもあり、せっかくなので食べてみよう。
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