なぜカシオの「関数電卓」は2200万台も売れているのか 電卓から見えてきた、海外と日本との“違い”:海外が大半(3/3 ページ)
カシオ計算機の関数電卓が売れている。年間2200万台ほど売れているというが、その大半は海外の国が占めている。なぜ日本ではなく、海外で人気を集めているのか。
「学びの現場」を支援する取り組み
では、なぜこのように各国のニーズを取り入れたり、流通網を確保できたりしているのだろうか。
同社は長年「Boost your Curiosity(「学び」の支援を行い、あなたの学びへの「好奇心」を高めます)」を掲げていて、教育に携わる人との関係を「学びの現場」と定義。学ぶ人、学びを教える人、学びを開発する人を支援している。
毎年8月には(コロナ禍を除く)、各国の教師を招いて「グローバル・ティーチャーズ・ミーティング」を開催。どのような機能を搭載すれば生徒が理解しやすくなるのか、どのような授業ができれば生徒の意欲につながるのかなどを議論することで、製品開発やサービスに生かしている。
「ニセモノ」対策も
世界中で関数電卓が広がる一方で、同社を悩ませていることがある。模倣品だ。特に開発途上国で増えていて、その対策に追われている。
「海外の学校を訪問した際、生徒さんが『カシオの関数電卓を使っている』と言って見せてくれました。しかし、その約9割が偽物だったこともあって、この問題は深刻に受け止めています」(熊田氏)
模倣品の多くは計算の精度や電池の持ちが悪いのに、そうしたモノが正規品として使われている現実がある。同社は関係機関や教育現場などと連携して、正規品をより入手しやすい環境を整えるなど、本物の普及に注力している。
今後、どのくらいの数を目標にしているのか。「2026年度に2500万台」を掲げていて、この市場はまだまだ伸びると見ているようだ。各国の教育トレンドやニーズをくみ取りながら、関数電卓の新たな価値を提案していくという。
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