「富士山ローソン」問題 黒い目隠し幕にたくさんの穴、なぜ区分けしなかったのか:スピン経済の歩き方(4/6 ページ)
山梨県富士河口湖町にある“富士山ローソン”の向かいに設置した「黒幕」に、穴が開けられていたようだ。この不毛なイタチごっこを見ていると、日本がなかなか「オーバーツーリズム」を解決できない理由がよく分かる。なぜかというと……。
情報源は役所のWebサイトではなく……
他にも「富士山ローソン」や「富士山コンビニ」が撮れるスポットがあることを知っている観光客もいるが、「あのバズった写真が撮れる場所なのでハズレはないだろ」という考えがあるので結局、あの場所に殺到してしまう。外国人バスツアーを見ると、別のコンビニを観光スポットとして組み入れているケースもあるが、どうやらそれは十分に伝わっていないようだ。
混雑する中でベストなショットを撮りたいので、中にはムチャをする人もいる。人が多く集まる場所は当然マナーの悪い人間も多くなるので、ゴミのポイ捨てや迷惑行為が増える。
これは外国人観光客どうこうという話ではない。コロナ禍で観光地に日本人しかいなかった時も、ゴミのポイ捨てが深刻な問題になっていたように、人が多く集まるところでは必ず起きる問題だ。
このような「観光公害」を解決するには「ゾーニング」しかない。つまり、ローソン河口湖駅前店以外の「富士山ローソンが撮れる店舗」をしっかりと周知させることで、「あそこでもハズレのない写真が撮れるらしい」と観光客の分散を目指していくのである。場所によっては、ローソン河口湖駅前店よりもはるかに映える「富士山セブン」や「富士山ファミマ」が撮れるスポットもあるので、そちらも合わせて情報提供をするのだ。
といっても、役所がWebサイトをつくって情報提供するなんてことをやってはダメだ。中国人観光客には彼らが情報源にしている中国人インフルエンサーがいるし、米国人観光客には彼らが情報源にしている米国人のインフルエンサーがいる。
それぞれの国の観光客が情報源としている人たちにも協力してもらう。皆さんもどこかの国に行って観光をする時、政府や富士河口湖町のような地元自治体のWebサイトやSNSを参考にするよりも、インフルエンサーやネットの口コミを参考にするはずだ。
自分たちがやっている当たり前のことを、外国人観光客にも適応すればいいだけの話だ。
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