対立を避けるなかれ 「仲良く喧嘩」するための4つのルール(2/3 ページ)
心理的安全性とは、対立や葛藤がないチーム状態だと考える人もいるかもしれないが、それは誤解。チームをいかに安心して対立・葛藤できる状態にするかが重要だ。
「仲よくぶつかり合う」ための4つのルール
(1)「仲のよい喧嘩」をする
対立に至らないのがよい会議だ、という思い込みを持っている人もいます。従って、会議が始まるときに、あえて意見をぶつけ合おうと確認することが効果的です。ぶつかるといっても、相手を攻撃するわけではなく、相手をリスペクトしたうえで、異なる意見や考え方をどんどん出し合うのです。
具体的には「仲よくぶつかり合うことを大切にしよう」と、会議の冒頭にみんなでルールとして確認し合いましょう。筆者が所属するスコラ・コンサルトでは「仲のよい喧嘩をしよう」を合言葉にしています。
端から見ると喧嘩をしているような雰囲気のミーティングもよくあります。しかし、それは目指す目的に向けて、信頼関係に基づいた、仲のよい喧嘩なのです。
(2)反対意見に感謝する
ある会社では、反対意見が出なかった場合、意思決定を行わないことにしているそうです。反対意見があるのは当然で、全員賛成という状況は逆に健全ではないということです。とはいえ、反対意見を言うことは勇気がいります。従って、あえて反対意見を出してくれた人には、感謝を言うようにしましょう。「Aさん、反対の意見を言ってくれて、ありがとう。対極の意見が出たので、みんなで、この問題をより掘り下げて考えてみよう」と伝えましょう。
(3)葛藤とみんなで向き合う
いざ対立・葛藤が起きたときには、みんなで一度立ち止まって、対立・葛藤の正体と向き合いましょう。対立・葛藤は、表面的にはAさんとBさんの対立というように、人の対立に見えます。しかし、本質的にはそれは2つのものの見方、考え方の対立なのです。じっくり立ち止まって、Aさんの意見とBさんの意見をよく吟味してみるとよいでしょう。
そうすると、AさんとBさんの意見は深いところではつながっていたとか、2つの意見を統合させることでよりよいCという考え方が生まれた、という発展があるかもしれません。
(4)いつもよりたくさん聴き合う
対立・葛藤の場では、ついつい自分と異なる意見を論破したくなります。そして論破することが必ずしも悪いことではないのですが、議論に勝つことだけに夢中になりすぎると、せっかくの対立・葛藤から多くを学ぶことができなくなります。普通は自分の意見にも相手の意見にも一理あるわけですから、こういう場では相手の意見を普段より一層しっかりと、より慎重に聴くことが大切なのです。
ディベートになりそうな勢いを抑えて「まずは、Bさんの意見をしっかり聴こう」という風に、メンバーが傾聴のモードに入れるような働きかけをしましょう。
このように、意見の対立や葛藤を成長につなげて、チームや会社をパワーアップしていきましょう。よい雰囲気をつくるためには、笑顔などの表情や「ありがとう」など感謝の言葉も重要です。基本的な「感じのよい」コミュニケーションを心がけましょう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「話を聴けない上司」にならないために 意識すべき2つのポイントとは?
ビジネスパーソンの必須の能力とされる「傾聴」。とはいえ傾聴は難しい。なぜ、聴くことは難しいのか。どうすれば聴けるようになるのか――。
企業風土は「会議」に表れる 本音を話せるミーティングをつくるためのルール
いま、ビジネスの世界において注目を集めている「心理的安全性」。本記事では心理的安全性を高めるための職場ミーティングの運営方法について紹介する。
「心理的安全性」は自ら高める “あの人”が周囲と軋轢ばかり抱える理由
心理的安全性を整えるは組織側の問題だと考えるビジネスパーソンもいるのではないか。個々人があるスキルを磨くことで組織の心理的安全性の向上に貢献し、自身のキャリアアップにも役立つ。どのようなスキルなのか。
「いつでも相談して」はなぜダメ? 「心理的安全性」のNGワードTOP3
マーケティング支援サービスを手掛けるビズヒント(東京都渋谷区)は「組織の心理的安全性に関する調査」を実施した。約77%の組織で心理的安全性の重要性を認識。一方で半数以上の企業が失敗していることも分かった。
部下に気を遣いすぎて疲れる上司 「心理的安全性の意味」を誤解している?
最近の職場でよく見られる心理的安全性への誤解の例を挙げながら、本当の意味での心理的安全性につながる職場でのコミュニケーションを紹介します。
