千葉のキッザニアっぽい施設「カンドゥー」 存続の危機から一転、過去最高の来場者数に どう立て直した?:「オワコン」克服へ(1/5 ページ)
幕張豊砂駅を出てすぐに、キッザニアによく似たパーク「カンドゥー」はある。慢性的な赤字体質を抜け出せたのはなぜか?
千葉県に子ども向けの職業体験型テーマパーク「キッザニア」に“よく似た”「カンドゥー」という施設がある。実は、開業から10年以上たっても業績は安定せず、運営元のイオンモールキッズドリーム(以下、キッズドリーム)は事業を手放すことさえ検討していた。しかし今年に入ってから黒字が続き、今夏に2号店の開業も控えている。
業績が好転した大きな要因は、(1)デジタルを活用したオペレーション改善と、(2)データドリブンの値上げ戦略だ。逆転の舞台裏には何があったのか。キッズドリームの末松央行社長に話を聞いた。
「コンパクト版キッザニア」? 日本初上陸も苦戦
カンドゥーは「親子3世代で楽しめる仕事体験テーマパーク」をコンセプトに据えた施設だ。実在の企業がスポンサーとしてブースを出店し、子どもはそこで職業体験できる。
同業であるキッザニアとの大きな違いとして、敷地がよりコンパクトであり、親子の距離が近いことが挙げられる。保護者の目が届く範囲に職場体験のブースが位置し、時には保護者が客役を演じることもある。
パーク内中央にはフードコートのようにボックス席を約500席備え、仕事体験の合間に食事もとりながら、家族のコミュニケーションが取れる空間づくりを意識している。子どもが仕事からあぶれないよう、一度に入場できる人数に制限を設けていることも特徴的だ。
収益の最も大きな柱は入場料で、全体売り上げの6割を占める。3割強は出店企業からのスポンサー料、残りはレストランでの飲食料や物販などが支えるという構成だ。
もともと、キッザニア創業メンバーの一人であるルイス・ラレスゴイチ氏が「キッザニアでできなかったことをやりたい」という思いで立ち上げたテーマパーク事業で、日本に初上陸したのは2013年12月のこと。
当初はSNエンタープライズ(旧称:カンドゥージャパン)が経営していたが、思惑通りの収入が得られず債務超過に。同社は2016年に特別清算手続きに入り、カンドゥー事業の経営はキッズドリームに移ったという経緯がある。
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