銀座でなんと3時間待ち! 「アサヒスーパードライ」の新しい店と若者の関係:火曜日に「へえ」な話(2/4 ページ)
1987年に登場した、アサヒビールの「スーパードライ」は今年37歳になる。いわゆるロングセラー商品であるが、会社はある課題を感じている。それは世代交代だ。若い人に飲んでもらうために、どのような取り組みをしているのかというと……。
ゴーライドを設置した2つの理由
若者に手に取ってもらいたい作戦はまだまだ続く。コンセプトショップ「SUPER DRY Immersive experience」を銀座にオープンしたところ、1カ月で目標来場者数(3万人)の3割以上となる1万人を突破したのだ。
コンセプトショップの期間は4月25日〜9月30日、営業時間は午前11時30分〜午後10時まで。入場料はゴーライド体験+ビール1杯+ペペロンチーノポップコーンのセットで700円となっている。
「Immersive=没入」という言葉どおり、店の特徴はちょっとしたテーマパークのような気分を味わえること。「ははーん。イマーシブとか没入って言葉をよく耳にするようになったよね。流行にうまくのって、来場者を増やしたってわけ?」などと思われたかもしれないが、半分正解といったところ。
というのも、同社がこうした施設を始めたのは2021年のことである。まだイマーシブという言葉が広まっていないころに、茨城県の工場内に没入をウリにした施設を導入したところ、多くの人が詰めかけているのだ(大阪の工場にも、2022年に導入)。
銀座のコンセプトショップや工場に導入した施設名は「スーパードライ ゴーライド」。自らがビールの缶に乗っている設定で、「振動」「風」を感じるというもの。なぜ工場でこのようなモノを設置したのかというと、2つの理由があった。
1つは、差別化である。ビール工場の見学といえば、だいたいパターンが決まっている。会社の歴史やビールのつくり方などを紹介して、最後にできたての一杯を提供する。アサヒビールも同じような施設を運営してきたわけだが、このままだと競合他社との違いを出せない。こうした課題を感じていたので、エッジの効いたコンテンツを企画したのだ。
2つめは、若い人の獲得である。ビール工場を見学するのは年配の人が多く、もっと若い人にも来てもらいたいという思いがあった。会社の説明やビールのつくり方だけではなく、なにか没入できる仕掛けはできないか。ワクワクするようなコンテンツを用意すれば、若い人が来てくれるかもしれない。
こうした議論があって「ゴーライド」を始めたところ、どのような結果が出たのか。導入前、20〜30代は2割ほどだったが、導入後は4割に増加。以前は年齢をカウントしていなかったので正確な数字ではないというが、肌感覚として若い人は圧倒的に少なかった。しかし、「いまでは『ゴーライドを体験したい』という目的で、多くの若年層が工場見学を訪れています」(マーケティング本部の山田祐介さん)という。
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