「SES企業はやめとけ」は本当か? 実態をヒアリングして分かったこと(2/2 ページ)
IT業界におけるキャリアを語る際、よく出てくるこの論調。なぜそういわれるのか、そして企業・人材はそれぞれどうすべきなのでしょうか?
各社の取り組みや独自の工夫
SES企業に対する不満の声がある中で、企業はどのような取り組みや工夫をしているのでしょうか。実際に弊社で取引のあるSES企業では、下記の観点で対策や取り組みを行っている企業が多いようです。
エンジニアの希望に応じた柔軟な案件アサイン
SES企業の営業は、エンジニアの稼働率や稼働開始数が目標となることが多く、エンジニアの希望よりもクライアントの要望を優先してしまうことがあります。
このような問題に対し、ある企業では「営業サイドの評価の仕組みを変えたことで、営業が事前に入念なヒアリングを行い、配属先の企業や案件を慎重に選んでアサインしてくれるようになった」という事例がありました。
また、専任部署を設置したり、営業に数値目標やノルマを設けなかったり、案件アサインのミスマッチを防ぐ企業もあります。
本人希望の案件にアサインできなかった場合でも、その背景を説明し、必要なスキルや能力を身につけるために、会社としてフォローする姿勢も大切です。SES企業の中には、自社で研修センターや専任講師を抱えたり、年に数百種類の研修を取りそろえ、独自のサポート体制を整えたりするところも増えています。
企業としては、エンジニア一人一人のキャリアビジョンを尊重し、研修プログラムの充実や資格取得のサポート、定期的なキャリアカウンセリングや1on1を通じて、エンジニアの中長期的なキャリア形成を支援する体制が必要でしょう。
SES企業は単なる企業形態にすぎず、その企業の良しあしを直接的に決定するものではありません。独自の取り組みや工夫をする企業も多く、さまざまなプロジェクトを通じて多くの経験が得られるなど、キャリアにとってプラスになる側面も多くあります。SES企業に対する正しい理解を促進し、企業とエンジニアとの信頼関係を深めていくことが何より重要です。
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