プロダクトInsights
日々リリースされる新しい商品やサービスたち。その商品やサービスには、必ず企業側の思惑や狙い、生活者のニーズ、時代の空気感が反映されている。本シリーズでは、これらの「Insight」を考察していく。
カルビーは6月24日、シリアルブランド「フルグラ」と、セイカ食品(鹿児島市)が展開する練乳かき氷「元祖鹿児島南国白くま」(以下「南国白くま」)とのコラボ商品「フルグラ 南国白くま風味」を発売する。フルグラがアイスとコラボするのは、今回が初めて。意外性のあるコラボ商品で、新規層を獲得する狙いだ。
南国白くまは、かき氷に練乳をかけフルーツをトッピングした鹿児島県を代表するアイスだ。今回のコラボでは、練乳味のグラノーラに、いちごやパイナップル、小豆をトッピングしている。
特に難しかったのが、南国白くまの特徴である「練乳味の再現」だったと同社は説明する。フルグラは牛乳をかけて食べるのが基本だが、何もかけずそのまま食べる人も一定数いるという。そのため、フルグラ単体で食べても練乳味を感じられるようにしつつ、牛乳をかけた際に風味が薄まらないよう調整した。
フルグラが力を入れている「企画品」
カルビーの大本都子氏(マーケティング本部 オーツ麦部 フルグラチーム ブランドマネジャー)によると、フルグラには定番品、季節限定品、企画品という3つのカテゴリーがあるという。「定番品には基本のフルグラや子ども向けのチョコバナナ味、健康志向の糖質オフがあります。定番品だけでは飽きてしまうので、季節限定品として夏はトロピカルココナッツ、秋はメープルといったフレーバーを販売しています」(大本氏)
フルグラが近年力を入れているのが、年に数回、数量限定で販売する企画品だ。今回発売するフルグラ 南国白くま風味も、企画品に該当する。
フルグラの販売金額を2022年度と2023年度で比較したところ、2023年度は全ての月で上回った。好調を後押ししたのは7月、11月、1月、2月に発売した企画品だ。大本氏は、季節性や話題性が高い企画品を販売することで、これまでフルグラを食べたことがない新規層を獲得し、売り上げ増につながったと分析する。
同社は昨年、企画品を計4回発売している。今年展開する企画品の商品数は未定としているものの、今後もフルグラの入口として企画品を訴求していく構えだ。
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