インタビュー
手を汚さずに使えるでんぷん糊「タピコ」 ありそうでなかった文具の開発秘話:想定以上の人気(2/5 ページ)
でんぷん糊を指にとらず、チューブを持ったまま塗り広げられる「ヤマト糊 タピコ」が登場した。開発したのは1899年に創業した「ヤマト社」。商品の開発背景を取材したところ……。
手で塗りたがらなくなった子どもたち
ヤマト糊は、ヤマト社が1899年に創業したときに製造。天然由来原料で作られ安全性が高いことから、長年にわたり子どもから高齢者まで幅広い世代に愛用されてきた。
タピコを開発したきっかけとして、少子化がある。でんぷん糊は知育の観点から子どもが使うことが多いが、少子化の影響を受け市場が縮小する傾向にあった。
2020年夏、ヤマト糊を幅広く知ってもらうことを目的に社内プロジェクトを立ち上げる。プロジェクトは営業や研究開発、商品企画、購買といった各部門からの希望者6人ほどで構成。ヤマト糊を盛り上げ改めて注目してもらうために何ができるかなどを話し合った。
プロジェクトの一環で、ヤマト糊に関する聞き取りを実施。結果、「手で塗りたくない」と思っている人が一定数いることが分かった。プロジェクトリーダーを務めたリテール営業企画部商品企画室 マネージャーの村上和生氏は次のように話す。
「幼稚園のイベントで調べて分かったことなのですが、子どもたちが思っていた以上に手で塗りたがらないことを実感しました。その主な理由は、手が汚れることと、べたべたする糊の感触が苦手なことでした」
手で塗りたくないという課題に対応するため、同社はプロジェクト発足から約半年後に、手にとらなくても塗り広げられるヤマト糊をつくることに決めた。
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