インタビュー
手を汚さずに使えるでんぷん糊「タピコ」 ありそうでなかった文具の開発秘話:想定以上の人気(4/5 ページ)
でんぷん糊を指にとらず、チューブを持ったまま塗り広げられる「ヤマト糊 タピコ」が登場した。開発したのは1899年に創業した「ヤマト社」。商品の開発背景を取材したところ……。
自由な発想から生まれた「タピコ」という商品名
商品名にある「タピコ」は、タピオカに由来する。ヤマト糊が天然由来原料であるタピオカでんぷんが使われていること、ナチュラルなイメージを与えやすいこと、語呂の良さから名付けた。
ネーミング案は全部で26。このうち最後まで残ったがタピコ含めて3案だった。
「ネーミングは最初、プロジェクトメンバーで自由に発想することを徹底しました。各自に考えてもらったので26案ほど出てきましたが、普段新商品を発売する時のネーミング案よりも多くなりました」
このように振り返る村上氏。案は素材からイメージしたものが多かったが、手に持って塗り広げられるという特徴からイメージしたものも見られたという。
タピコは当初予定を上回る勢いで売れており、3月の発売後すぐに追加生産したほど。「予想以上に早く次の生産指示をかけることになりました」と村上氏も驚きを隠さない。
好調な出足となった理由として村上氏は、今までにないタイプのヤマト糊であること、手に持ったまま塗り広げられる新機能を訴求したこと、の2点を挙げる。手で持って塗れることは、チラシや吊(つ)り下げ式パッケージで訴求している。
タピコを発売して分かったことの1つが、手に持って使えるヤマト糊を待ち望んでいた人が実際にいたことだった。そういう人がいることを知ったのは、ヤマト公式Instagramに届いた1通のDM。送り主はヤマト糊のヘビーユーザーで、予約した旨のメッセージが届いた。
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