「百貨店閉店でにぎわいが消えた」キャンペーンに、新聞が“チカラ”を入れる理由:スピン経済の歩き方(5/7 ページ)
ここ数日、百貨店閉鎖に関連して地方の悲観的な報道が続いている。だが実際には、近くで新しい商業施設の“にぎわい”があるエリアもある。なぜこのようなギャップが生まれてしまったのか。
「にぎわいが消えた」はずが……
国宝・松江城や塩見縄手などの観光スポットが多いこのエリアに、もともと1981年にオープンした「アピア」という大型SCがあった。それが2006年に「キャスパル」となって再オープンし、長年愛されてきたが建物の老朽化などで2021年に閉店してしまった。
しかし、その跡地にこの5月27日、ナチュラルガーデン黒田の核となる24時間営業のスーパーマーケット「マルイ」がオープンした。ちなみに、この施設には今後、無印良品や松江市の老舗和菓子店などのテナントが出店を予定している。
『山陰中央テレビ』のニュース映像を見ると、オープン前には長蛇の列ができていた。このあたりはスーパー激戦区ということで、成城石井や三越伊勢丹などのブランド商品も扱って「商品力」で勝負をしていくという。
人口減少によって松江市の「にぎわい」は消えている。しかし、そんな厳しい状況の中でも、住民のニーズや時代のトレンドにマッチした新しいSCによって、どうにか新しい「にぎわい」を生み出そうと努力しているのだ。
しかし、『南日本新聞』の記事ではこういう情報は紹介せず、「百貨店閉店でにぎわいが消えた」というストーリーに固執している印象を受ける。もちろん、「山形屋再建」がテーマで取材に来ているのだから気持ちはよく分かるが、あまりにも「百貨店」に肩入れしすぎではないか。埼玉・丸広百貨店閉店を扱う『朝日新聞』もやたらと「百貨店閉店=地域にマイナス」を強調している。
では、なぜ新聞社はこうも百貨店に優しいのか。
いろいろな意見があるだろうが、個人的には、自分たちの姿と百貨店業界の衰退を重ね、感情移入をしているからではないかと考えている。
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