山手線にも「起点」と「終点」がある 正しい“環状線”はどこに?:意外なところに(3/5 ページ)
山手線は路線が輪の形になっている「環状線」だが、実は起点と終点がある。起点と終点が一緒で、ぐるぐると回る完璧な環状線はあるのだろうか。
環状になる時期が遅かった大阪環状線
一方の大阪には、JR/私鉄含めターミナルがいくつもある。大阪環状線の内側にも、私鉄のターミナルは見られる。
現在の大阪環状線となる路線は、まずは天王寺駅から玉造駅までが1895年5月に、玉造駅から梅田駅(現在の大阪駅)が同年10月に、それぞれ開業した。天王寺駅では湊町駅(現在のJR難波駅)発着の路線と接続していた。
大阪駅から安治川口駅までの貨物路線は1898年4月に誕生し、1899年5月に大阪駅から福島駅まで旅客輸送を開始した。その後、桜島駅まで路線が伸長。1943年5月には、天王寺駅から桜島駅まで直通列車が運行される。
環状線になるのは戦後のことである。1961年4月に桜島駅までの路線の途中、西九条駅から天王寺駅までの路線が開業した。ここで大阪環状線という路線名が生まれた。西九条駅から桜島駅までは桜島線となった。
ただし当時は、桜島駅から大阪駅を経て、京橋駅、天王寺駅、西九条駅とを結んでいた。その後1964年3月に西九条駅が高架化し、新今宮駅が開業。全線が複線となり、完全な環状運転が可能になった。1968年には新今宮駅と天王寺駅の間が複々線になり、関西本線と分離した。
大阪市の戦後復興計画の中で環状線建設を実施することになり、それがようやく実現したといえる。
こういった経緯から、大阪環状線は天王寺駅が起点となり、新今宮駅が終点となった。「関西本線の今宮駅にも大阪環状線のホームがあるじゃないか」という声も出てきそうだが、今宮駅には1997年3月まで大阪環状線のホームはなかった。新今宮駅から天王寺駅は、関西本線となっている。
現在の大阪環状線は、多目的に使用されている。山手線のように全列車が周回しているのではなく、関西国際空港や紀州方面の特急列車が西半分を使用し、京橋駅を出て大阪駅を経由し、関空・和歌山方面に向かう列車もある。大阪駅発着の奈良駅方面への列車もある。貨物列車も大阪環状線を使用する。
路線としては天王寺から大阪駅を経て新今宮駅を結ぶものの、それとは関係なく多目的に利用されるのが大阪環状線の特徴である。
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