『ぼっち・ざ・ろっく!』映画が人気 漫画・アニメ作品に「音楽」が重要なワケ:エンタメ×ビジネスを科学する(2/4 ページ)
漫画・アニメを中心としたメディアミックスにおける、音楽の役割とは何だろうか?
メディアミックスの枠を広げたターニングポイントは?
メディアミックスとは、異なるメディアを組み合わせて1つのコンテンツを多角的に展開する戦略を指す。このアプローチは、特にエンターテインメント業界で効果的に用いられており、漫画、アニメ、音楽など、複数のメディアを通じて物語やブランドを拡張し、より広い層と接点を持つことが可能となる。
また、先に述べたように漫画をアニメ化することは、日本のエンターテインメント業界におけるメディアミックスの最も一般的な形態の1つである。アニメ化により、原作漫画のビジュアルが動きと音声を伴って表現され、物語の世界観やキャラクターの活躍をより鮮明に、そしてダイナミックに視聴者へ伝えることが可能となる。
よって、原作ファンのみならず、アニメから入る新たなファンを獲得することが可能となる。なお、本筋とは離れるが2010年頃からは小説(ライトノベル)のアニメ化も増えており、ライトノベル→漫画→アニメという流れのメディアミックスも増加傾向にある。
音楽自体の活用は主題歌タイアップに代表されるように、アニメをきっかけに楽曲の売り上げを伸ばしたり、歌手の人気をアニメのプロモーションに活用したりすることはアニメ史初期から行われてきた。では、どのように現代のような音楽活用がなされてきたのか、簡単に「漫画・アニメ×音楽」におけるメディアミックスの流れを紹介する。
主題歌のみならず、音楽をアニメのストーリーやキャラクターと密接に関わらせた代表例として、1980年代の『超時空要塞マクロス』がある。作中には多くの曲が登場し、作中のキャラクター「リン・ミンメイ」を演じる飯島真理が歌唱も担当した。マクロスの劇中歌、リン・ミンメイの歌がアニメの枠を超えてヒットしたことが、アニメ×音楽の枠を広げる1つのターニングポイントになったといえるだろう。
以降、『めぞん一刻』や『らんま1/2』におけるキャラクター名義の楽曲の登場、作中キャラクター名義のキャラクターソングの増加、アニメ声優本人たちによる『サクラ大戦』のミュージカル化など、アニメ×音楽の領域は広がっていった。
2000年代に入ると、さらに領域は拡大していく。女性客を多く取り込んだ『テニスの王子様』のミュージカル、ニコニコ動画を中心に人気を博した『涼宮ハルヒの憂鬱』の劇中歌・キャラクターソングなどが代表例だ。以前は奇異の目で見られていた“アニメ関連楽曲のチャート入り”が珍しいものではなくなったのがこの頃である。
そのような時代で、音楽そのものをテーマとした作品が登場する。漫画・アニメにおける『けいおん!』、ゲームにおける『アイドルマスターシリーズ』である。『けいおん!』は女子高生によるバンド活動をテーマにした4コマ漫画およびアニメであり、出版社を同じくする『ぼっち・ざ・ろっく!』とは共通点も多い。『けいおん!』劇中のバンド『桜高軽音部』の楽曲やライブのヒットで市場を開拓したことが、『ぼっち・ざ・ろっく!』劇中のバンド「結束バンド」のヒットにつながっているといっても過言ではない。その他にも2010年代には『ラブライブ!』や『BanG Dream!(バンドリ!)』など、アニメ作品と音楽コンテンツを組み合わせた形態が定着している。
経緯を振り返ったところで、「漫画・アニメ×音楽・音楽ライブ」というメディアミックスがどのように採用され、どのような効果をもたらしているか考察したい。
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