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『キャプテン翼』が連載終了 その功績と“機会損失”を振り返る:エンタメ×ビジネスを科学する(1/5 ページ)
『キャプテン翼』は4月の雑誌掲載にて漫画連載を終了し、今後はネーム形式で公式webサイトなどに掲載すると発表した。改めて同作の功績と、ある「機会損失」について振り返りたい。
前回の連載では鳥山明氏と同氏の作品について触れた。鳥山明氏の代表作『Dr.スランプ』と『ドラゴンボール』が人気を博していた1980年代の少年ジャンプにはもう一つ、国内外に多大な影響を与えた作品がある。それが『キャプテン翼』だ。
『キャプテン翼』は2024年4月の雑誌掲載にて漫画連載を終了し、今後はネーム形式で公式Webサイトなどに掲載すると発表した。これを機に『キャプテン翼』の功績を振り返りつつ、コンテンツビジネスとしての成功や困難、40年間の環境変化などについて考察したい。
「マイナースポーツ」だった日本のサッカー
『キャプテン翼』は高橋陽一氏によって描かれたサッカー漫画であり、単行本はシリーズを通して100巻を超えるロングラン作品である。しかし、2000年代以降は前述した『ドラゴンボール』をはじめとした他のジャンプ作品と比べてメディア露出が減ったため、30代以下の層にはその功績を十分に認識されていないのではないか。
そのため、まずは国内における当作品の功績について紹介する。『キャプテン翼』の連載が始まった1981年当時、日本におけるサッカーは静岡県や東京都町田市など一部地域で盛んだったものの、全国的にはマイナーなスポーツだった。当時の国際大会の成績を見ても、日本は“サッカー後進国”だったことが分かる。このような環境下で、高橋陽一氏がサッカーの面白さ、楽しさを伝えることをコンセプトに描いたのがこの作品である。
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