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15年ぶり大規模出店の「吉野家」 2つの店舗スタイルで女性層を取り込めるか(4/4 ページ)

長らく店舗数が横ばいだった牛丼業界に動きが出そうだ。吉野家が、15年ぶりに100店舗規模の拡大を目指す。軸となるのは2つの業態だという。

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本業に集中し、女性客を取り込む

 テークアウト専門店、C&C店と2つの新業態店を強化する吉野家だが、背景には女性客を取り込みたい狙いがある。従来の狭いカウンター式店舗には抵抗がある女性も多く、新業態店でそれを打ち消す形だ。

 各社が実施する牛丼屋のアンケートでは、女性からの評価が高いのはすき家の傾向がある。すき家は豊富なトッピングメニューや子ども向けメニューで幅広い客層を取り込んできた。一方の吉野家は女性客比率が低く、新規開拓を模索した結果が新たな戦略に反映されている。

 吉野家ホールディングス全体に目を向ければ、2020年に「ステーキのどん」や「フォルクス」などのアークミール事業を手放し、翌2021年には持ち帰り寿司店の「京樽」事業をスシローグローバルホールディングス(現:FOOD & LIFE COMPANIES)へと売却した。国内のはなまる事業も芳しくなく、すき家のゼンショーのように多角化を進めたが、うまくいっていない模様だ。他事業がうまくいかない状況であらためて本業を伸ばそうとしたのだろう。

 女性からは「牛丼屋には入りにくい」という意見も聞かれ、新業態店のポテンシャルはありそうだ。テークアウト店の半分が女性客であることからも、牛丼自体が避けられているわけではないことは明確であり、女性客を取り込んで再成長できるのか、吉野家の今後に注目したい。

著者プロフィール

山口伸

経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_


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