15年ぶり大規模出店の「吉野家」 2つの店舗スタイルで女性層を取り込めるか(3/4 ページ)
長らく店舗数が横ばいだった牛丼業界に動きが出そうだ。吉野家が、15年ぶりに100店舗規模の拡大を目指す。軸となるのは2つの業態だという。
「らしくない」C&C店舗も大幅に拡大へ
吉野家は他にもC&C店舗の出店を強化する方針を発表している。
C&Cとは「クッキング&コンフォート」の略。従来店のようにU字型のカウンター席はなく、C&C店舗はファミレスやカフェのようにテーブル席を多く設置する。椅子も簡素な丸椅子ではなく、背もたれがついたものだ。カウンター席には電源もあり、ゆっくり休めそうな雰囲気である。無機質な従来店の内装とは対照的に、C&C店舗は木目やレンガ調の壁紙、フェイクグリーンを設置するなど内装にも凝っている。
利用客は入口付近のレジで会計を済ませ、呼ばれたら取りに行くセルフ式をとる。松屋のように券売機を置かないのは、対面を重視する吉野家らしい施策だ。C&C店舗限定のメニューもある。「牛丼ON野菜」(並盛677円)や「ON野菜」(110円)のほか、アイスクリームやドリンクバーまであるのが特徴的だ。以前はケーキも提供していた。
牛丼御三家の中でもトッピングや特徴的なメニューが少なく、牛丼一辺倒だった吉野家のメニューをかえりみると、C&C店は女性客を取り込もうとする姿勢がうかがえる。
C&C店は従来店よりテークアウトの売り上げが伸びた他、2割だった女性客比率が3割に増えた実績もあったといい、期待は大きい。2016年から出店し、2019年時点では4店舗しかなかったが、新規出店および従来店の改装を進めた。直近2年で店舗数を著しく増やし、2024年2月期末時点では412店舗まで拡大している。2025年2月期末には532店舗を目標とする。
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