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15年ぶり大規模出店の「吉野家」 2つの店舗スタイルで女性層を取り込めるか(2/4 ページ)
長らく店舗数が横ばいだった牛丼業界に動きが出そうだ。吉野家が、15年ぶりに100店舗規模の拡大を目指す。軸となるのは2つの業態だという。
女性比率の高いテークアウト専門店
先述の通り、吉野家は今期大きく出店を加速する方針だ。2025年2月末時点の店舗数は1323店舗を計画しており、実に15年ぶりとなる100店規模の出店を目指す。
新規出店の軸となるのがテークアウト専門店である。同店舗の面積は約50平方メートルと、100平方メートルを基本とする従来店の半分だ。テークアウトとデリバリー専門のため、イートインスペースはない。中に待合スペースを設ける店舗もあるが、通りに面した窓口があるだけの簡易的な店舗もある。都市部では商店街や角地への出店が目立つ。
初期投資額も従来店の2分の1以下と安価だ。従業員数は従来店と変わらないが、配膳の必要がなく、より効率的に運営できるため運営コストも低い。求人では配膳や片付けが不要な点を強調しており、従来の「キツい」というイメージを軽減できているのか、アルバイトを集めやすいという。
これまで吉野家はテークアウト専門店を2022年度に6店舗、2023年度に37店舗出店した。2年の検証期間では売上高が計画を上回ったほか、弱みとする女性客を獲得できていることが分かり、同店舗の出店加速を決めたという。
テークアウト専門店の女性客比率はチェーン全体の25%に対し、50%と高い。コロナ禍を通じて吉野家のテークアウト比率が7.8%から37.5%へと拡大したことも背景にある。今期は117店舗の出店を計画し、来期はさらなる出店を模索する。
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