シンプル・イズ・ベスト Sansanがたどり着いたインサイドセールスの最適解とは?:多くの未経験者が活躍(3/4 ページ)
Sansanのインサイドセールス部門が2023年12月に大幅な組織改革を実施した。顧客の従業員規模をベースにした「シンプル」で「分かりやすい」組織にしたという。組織体制を変更し、どのような変化があったのか。
分業でも「密に連携」 KPI設計に工夫
このようにSansanのインサイドセールス組織はチームごとに役割が明確化されており、分業して効率的に営業活動を進めている。分業体制は効率的である一方、組織間で連携がうまくいかずに衝突が起きてしまうケースも多い。SDRはマーケティング組織と、BDRはフィールドセールス組織との連携が特に重要になるが、同社では円滑に連携するためにどのような工夫をしているのか。
まず、KPI設計がポイントになる。同社では案件のステータスを7つのフェーズで管理している。商談見極めを「P1」、課題特定を「P2」、推進者との提案内容合意を「P3」、意思決定者との提案内容合意を「P4」、価格・申込日の最終合意を「P5」、稟議決定を「P6」、案件確定を「P7」――とし、インサイドセールスではP1〜P3までを追う。
SDRのKPIは「商談獲得件数」と「P3(意思決定者との提案内容合意)の件数」、BDRは「P2:案件化数」と「P3(意思決定者との提案内容合意)の金額」となる。マーケティング組織とSDR、フィールドセールス組織とBDRのKPIがそれぞれ重なっている部分が多く、同じ目標に向かって取り組めるようにしている。
また週に1回は必ずマネジャー以上が集まる会議を実施。SDR領域であれば、マーケティングチームから今後のリード供給予想数などを共有してもらい、目標達成に向けて作戦を立て、行動量の見直しなどを行う。
BDRではフィールドセールスからリードの商談化率や案件化率などのフィードバックを受け、お互いの質を高められるよう連携していく。
「当社は『7人8脚』という言葉を重要にしており、会社の目標に対し、全員が一緒に向き合っていくカルチャーが根付いている」(稲毛氏)
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