「天橋立」もあるのに日帰り客だらけ どうする? 老舗のお酢メーカーが追いかける“2つの街”:「美食の町」へ(2/5 ページ)
京都府北部の丹後エリアで、ある地域創生プロジェクトが進行している。「丹後を日本のサン・セバスチャンに」という壮大なビジョンのもと、過疎化に悩む地域を「美食の町」へと変貌させようとしている。
認知度を向上させる狙い
サン・セバスチャンとは、スペインのバスク地方にある人口約18万人のビーチリゾートだ。今では「美食の町」として知られ、世界中から多くの観光客が食文化を楽しむために訪れる。
一方、丹後エリアも周辺の市区町村を合わせると人口は約20万人。大阪や京都からクルマで1〜2時間ほどの立地であり、海と山に囲まれるなど、サン・セバスチャンと共通点が多い。
2015年から「丹後を日本のサン・セバスチャンに」というビジョンを掲げて活動しているが、実は飯尾氏が真に目指したのは、サン・セバスチャンからクルマで30分ほどの距離にあるスペイン北部の小さな「ゲタリア」という漁村の成功モデルだという。
ゲタリアでは、あるレストランが世界的な評価を得たことで、国際的な観光客を引き付けるようになった。人口わずか3000人程度の村だが、年間を通じて安定した観光需要を生み出しているという。
「サン・セバスチャンのように数百店舗のバルを丹後で実現するのは現実的ではない。一方で、ゲタリアのように店舗数は少なくても、訪れる価値のある名店を作れば町は強くなると考えた。知名度を考慮し、あえてサン・セバスチャンの名を借りた」と飯尾氏は狙いを説明する。
つまり、サン・セバスチャンのような大規模に飲食店を集積させるのではなく、少数でもクオリティーの高い「ディスティネーションレストラン」(店に行くこと自体が観光の目的となるレストラン)を作ることで地域全体の価値を高めることを目指した。
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