生成AIに業務委託 必須になる「任せ上手」のスキルとは?:働き方の見取り図(2/3 ページ)
生産性向上が叫ばれる中、AIのように進化したツールは心強い存在だ。一方で、使い方を間違えると波紋を呼ぶ怖さと表裏一体でもある。進化が著しい技術にどう向き合えばよいのか。
「売り上げが全て」が招くリスク
一方で、どれだけツールの機能が進化しても、受け止め方が変わらないものもあります。例えば将棋や囲碁などのゲームでは、いまや人間はAIにかないません。しかし、将棋界や囲碁界はなくなるどころかいまも高い人気を誇っています。
背景として藤井聡太7冠のようなスーパースターの出現も関係しているかもしれませんが、ただ「勝つ」という結果だけが求められているのであれば、AIの方が強くなった時点で人間の出る幕はなくなっていたはずです。
それなのに人気が衰えない根本的な理由は、人間同士がお互いの力をぶつけ合って戦うこと自体に価値が見出されているからに他なりません。機能と価値は、必ずしも一致するとは限らないのです。
ビジネスシーンにおいても、同じことが言えます。手作りのお総菜を目当てにスーパーに買い物に来るお客さんは、機械で大量生産されたお総菜にはない別の価値を感じています。商品にひもづく意義や背景を重視する人であれば、環境問題への配慮やフェアトレードが保証されているかといったトータルでの価値を見定めて購入します。
ビジネスは基本的に、売れるか売れないかという結果で判断される世界です。しかし、世の中の価値観が多様化していく中で、売れるもののあり方も機能性だけでなく、個々の嗜好(しこう)に合わせて最適であることが求められるようになりました。
さらに、売れた後も重要です。
売れるという結果を出したとしても、後々その取り組みの是非が問われることがあります。深刻な健康被害が確認された小林製薬の紅麹成分入り製品には回収命令が出され、認証検査不正が明るみに出たダイハツ工業は出荷停止などが影響して31年ぶりの営業赤字となりました。
ネット社会において、売れるという“結果”だけ追求すれば良いというスタンスには大きなリスクが伴います。結果を出すまでのプロセスなど、結果にひもづく健全性もセットにした“成果”に仕上げなければ、炎上のように即効型のリスクはもちろん、何十年も経てから暴かれる企業不正のような遅効型のリスクも抱えることになります。
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