2015年7月27日以前の記事
検索
連載

なぜ、すき家は“ディストピア容器”を提供するのか 「並盛430円」のスゴさが見えてきたスピン経済の歩き方(4/6 ページ)

すき家が一部店舗で導入している容器が「ディストピア」のようだと、たたいている人がいる。だが1000円以下で食べられる牛丼チェーンに対して皮肉を言うことは、全てわれわれに特大ブーメランになって返ってきているのだ。どういうことかというと……。

Share
Tweet
LINE
Hatena
-

「世界一安くて品質の良い牛丼」を食べられる日本人

 このように各社が「食器」にまつわる現場の負担軽減を検討している中で、すき家の場合は「使い捨て容器」だったというわけだ。


すき家の牛丼(出典:公式Webサイト)

すき家のねぎ玉牛丼(出典:公式Webサイト)

 確かにエコの観点からは時代に逆行する取り組みではあるが、従業員は浸漬槽に食器を浸す工程もないし、食器を食洗機に並べなくてもよいし、洗い残しがないかを目視する必要もない。その作業がごそっと消えた分、調理や商品の提供にリソースを集中できる。

 こうした「安さ」と「現場負担軽減」を両立した取り組みに、企業側がどれだけ知恵を絞っているのかを少しでも理解すれば、プラ容器に盛られた牛丼を見てもそう簡単に「餌かよ」「味気ない」なんて文句は出てこないのではないか。

 食器を下げて、残飯を捨てることも、その食器を浸漬槽に浸けることも、それを取り出して食洗機に並べることも全て労働者が行う。当たり前だが、そこには全て賃金が発生する。日本人はサービスを水と同じように「タダ」だと思っているが、「きれいな食器」を客に出すのもそれなりのコストがかかっているのだ。

 そして、このように低賃金で重労働をしてくれる労働者のおかげで、われわれは「世界一安くて品質の良い牛丼」を気軽に食べられるというわけだ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る