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なぜ、すき家は“ディストピア容器”を提供するのか 「並盛430円」のスゴさが見えてきた:スピン経済の歩き方(5/6 ページ)
すき家が一部店舗で導入している容器が「ディストピア」のようだと、たたいている人がいる。だが1000円以下で食べられる牛丼チェーンに対して皮肉を言うことは、全てわれわれに特大ブーメランになって返ってきているのだ。どういうことかというと……。
牛丼チェーン3社の価格とアルバイト賃金を比べてみると
この構造は牛丼チェーン3社の牛丼並盛の価格と、アルバイトの賃金を見れば分かりやすい。松屋は牛丼並盛が400円だったが、7月16日に値上げをして430円になった。すき家も430円、吉野家は468円と一番高い。
牛肉価格が高騰しているという「ミートショック」だなんだと言っている間に、ここまで安い牛丼が食べられることは本来、異常なことだ。日本の消費者は「牛丼屋が安い牛丼を提供するのは当たり前っしょ、もっと企業努力しろよ」という感じで、この異常な低価格を当たり前のように享受しているが、そのしわ寄せは「現場」にいっているのだ。
その一端が分かるのは、牛丼チェーン各社の東京・新宿エリアの7月16日時点の時給だ。
パート・アルバイト採用ページを確認すると、吉野家の新宿京王モール店は「時給1400〜1750円」と最も高い時給で募集をかけている。すき家の新宿南店は「時給1350〜1688円」、松屋の新宿1丁目店は「時給1200円〜」となっていた。
「安い外食」をキープし続けるには原料を安く仕入れるなどのコストカットだけではなく、「現場の何か」を犠牲にしなくてはいけない、というシビアな現実があるのだ。
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