「ChatGPT一択」ではない 営業のプロが解説、商談のレベルを底上げする生成AIサービス活用法:プロンプトも紹介(3/5 ページ)
営業パーソンの生成AI活用に注目が集まっている。生成AIと聞くと、「ChatGPT」を思い浮かべる方が多いが、生成AIはChatGPT一択ではない。営業が使うべき生成AIサービスは何か、具体的な活用方法について解説する。
商談当日の活用方法
60分の無駄のない商談アジェンダの設計
仮説を持って、当日はAIでアジェンダを作成して臨む。私はデジタルセールスプラットホームのopenpage上に、提案仮説も含めた60分のアジェンダを用意して商談するようにしている。こんな話をしたいということを前提考えながら、実際の商談の中でどんな構成で何をヒアリングし、何を提案し、何を議論しておくべきか過不足なくAIで設計する。
話したいことはたくさんあるが、60分の中でどういうバランスで話すべきか、人の頭で整理してテキストで起こすことは困難なので、商談アジェンダをAIで生成する。
60分間で無駄のない商談設計をするには「こんな仮説があり、こんな話をしたいので、60分のアジェンダを作ってほしい」と依頼すればよい。精度の高いアジェンダ構成が出力されるだろう。それをopenpageのようなデジタルセールスプラットホーム上で顧客にも表示しながら、今日の商談でどんなことを話すのか、何を目的にして、どう進めるのかを準備して話す。
商談データからの議事録自動作成
アジェンダに沿って商談を終えたあとは、その商談データはデジタル保存しよう。ZoomなどのWeb商談、IP電話、スマートフォンの録音・録画機能を利用し、商談をレコーディングする。そのデータを商談分析ツールに解析させれば、文字起こしされ、デジタルデータでテキスト化できる。
この文字起こしテキストと、openpage上のアジェンダに書かれた商談のメモとを合わせて、生成AIに議事録を書かせると営業の大幅な効率化につながる。従来大変だった議事録作成の作業が1〜2分でできるようになる。プロンプトは「このデータ(音声やメモ)をもとにして議事録を書いてほしい」と打とう。
議事録は双方の対話、提案内容、顧客情報、取引の方向性、懸念点、取り組みのROI、ネクストアクション、スケジュールなどが書かれた貴重なものになる。
商談においては社内の営業チームだけでなく、顧客にも何度も議事録を読んでもらい、自社の関係者への調整や、投資の意思決定をするための判断材料にしてもらうべきだ。顧客に議事録を読まれる回数が多いほど、顧客の社内説明力は高まり、結果として受注率が高まる。
生成AIを活用すれば、毎回の60分の打ち合わせが無駄なく設計でき、そこで話し合われた議事録も一瞬で生成できるので、顧客に何度も「復習」してもらう体験を作れる。
デジタル上で顧客に議事録を共有して、それを何度も読んでもらう作業は、ある意味で「デジタルセールス」である。営業が介在しなくても、議事録が何度も営業の説明を代わりにしてくれる。いい議事録は何度も顧客に読み直され、商談を前に進めてくれる。
また、議事録に加えて顧客にしてほしいネクストアクションの作成を生成AIに依頼しよう。「いつまでにこのアクションをやりましょう」と期日付きでタスクを作り、それを言語化。顧客に議事録とともに見せて、商談後の動き方も整理するのだ。
議事録を生成AIに渡し、「ネクストアクションを整理したいので、タスク名・タスク詳細・期日・担当者を表形式で整理してほしい」と命令すれば、表で分かりやすく双方のタスクが整理される。
「AIがセールスしてくれる」という話はよく話題にのぼる。この実態としては、人が話すこと・話したことをAIが議事録などのデジタルデータとしてテキストにまとめてくれるので、AIが生成したそれらのテキストによってセールスの説明が代替され、代わりに営業説明をしてくれる、というわけだ。
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