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「トヨタが日本を見捨てたら、日本人はもっと貧しくなる」説は本当か:スピン経済の歩き方(3/7 ページ)
トヨタ自動車の豊田章男会長が囲み取材で発した心情が話題になっている。中には「トヨタが日本を見捨てたら日本人はもっと貧しくなる」といった論調もあるが、果たして本当なのだろうか。
日本人の実質賃金は23カ月連続でマイナスを更新
では、この4年、日本人の賃金はどうなったのかというと、どんどん悪くなっている。OECD加盟34カ国の中で日本は韓国、イタリア、スペインと次々と抜かれて2022年は25位で「二軍」扱いだ。しかも、岸田政権になってから実質賃金は26カ月連続マイナスで、リーマンショック時を超える記録を更新中だ。
日本経済を左右するトヨタが好調で、すさまじい勢いで賃上げをしているのに、なぜわれわれ一般庶民には恩恵がないのか。なぜトリクルダウンの「ト」の字も聞こえてこないで、どんどん貧しくなっているのか。
この現象を説明できる答えは1つしかない。「トヨタ自動車」と「日本人の貧しさ」はダイレクトには関係ないということである。ただ、こんな回りくどい話をしなくとも、日本経済の客観的なデータを見ればそれは分かりきった話だ。
日本のGDPの約7割はサービス業によるもので、全就労者の約7割もサービス業で働いている。会社規模で見てもトヨタのような大企業は全企業のわずか0.3%にすぎず、99.7%は中小企業だ。
そしてその350万社のほとんどが、従業員が5人から20人という「小規模事業者」である。これはトヨタの下請けでもなければ大企業と取引もしていない、個人商店や家族経営といった零細企業であることも分かっている。
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