お客が求める「おいしいコーヒー」神話 カフェ経営で見落としがちな“ほろ苦い現実”:スピン経済の歩き方(1/7 ページ)
2023年に倒産件数が過去最多となった喫茶店・カフェ。その背景には、「苦い現実」があった。多くの人が喫茶店・カフェに求めることとは……。
「定年退職したら海辺の街でカフェでも開いて、コーヒーの香りの中で、常連さんたちとゆったりとした時間を過ごしたいな」
そんなセカンドライフを夢見て頑張っているサラリーマンは、人生設計の変更を余儀なくされてしまったかもしれない。
8月4日、Yahoo!ニュースが「コーヒー1杯に出せるのは『500円』 カフェ倒産が過去最多、本当の要因は? #くらしと経済」という特集記事を掲載。2023年、喫茶店・カフェの倒産が過去最多となった背景に、コーヒー豆の価格や人件費の高騰が続くことや、カフェ経営に憧れを抱いて参入する人が後を絶たず過酷なレッドオーシャンになっていることがあると指摘。カフェ経営のシビアな現実が多くの人に知られることになったのだ。
要するに、味、こだわり、雰囲気など何かしらエッジが立ったカフェ・喫茶店でなくてはこれからの時代、「淘汰(とうた)」されてしまうというわけだ。
一方、「逆に燃えてきた」という人もいるだろう。会社帰りにバリスタの学校に通うなどして「おいしいコーヒー」を探求するぞ。そんな風に決意を新たにした方もいらっしゃるだろうが、この方向性で生き残るのもかなりハードルが高い。
寝る間を惜しんで自家焙煎技術を磨き、豆の買い付けに奔走するような、コーヒーに人生をささげた人たちがこの世界にはウジャウジャいるからだ。また、大手カフェチェーンと一線を画した「味とこだわり」で勝負する企業もある。例えば、茨城を中心に展開するSAZA COFFEE(ザザコーヒー、茨城県ひたちなか市)は、コロンビアの農園を所有して、高級豆「パナマゲイシャ」を栽培している。
そんな熾烈(しれつ)な争いを繰り広げている「プロ」たちに、ちょっと学校に通ったくらいで太刀打ちできるほど甘くはないのだ。しかも、もっと言ってしまうと、これからカフェ・喫茶店業界に新規参入する「素人」がやる努力としては、完全に方向性が間違っている。
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