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お客が求める「おいしいコーヒー」神話 カフェ経営で見落としがちな“ほろ苦い現実”:スピン経済の歩き方(3/7 ページ)
2023年に倒産件数が過去最多となった喫茶店・カフェ。その背景には、「苦い現実」があった。多くの人が喫茶店・カフェに求めることとは……。
多くの人が重要視しているのは……
コーヒー愛好家の皆さんや、コーヒーに人生をささげている人々からすれば、なかなか受け入れられない話だが、このような結論を示す調査は他にもある。
データ・リストの販売や調査代行などを行うナビット(東京都千代田区)は2022年3月、男女1000人を対象に「喫茶店やカフェの利用」に関するインターネット調査を実施。「喫茶店・カフェへ行く際、一番重要視している点は何ですか?」と質問したところ、「コーヒーの味」を挙げたのは8.8%にとどまった。1割にも満たない。
では、最も多くの人が重要視している点は何かというと「ゆっくりできそうか」(41.5%)である。つまり、喫茶店やカフェに行く人の大多数はコーヒーの味よりも「店の雰囲気」を重視しているのだ。
意外に思うかもしれないが、冷静に考えてみれば当然だ。
大手コーヒーチェーンが乱立して、コンビニでも出来立てのコーヒーが飲めて、かつては「甘ったるくてまずい」と言われていた缶コーヒーですら、「世界的バリスタが監修」なんて掲げている。また、カルディなどに行けば世界中のいろんなコーヒー豆が手頃な価格で売っているので、ちょっと面倒でも自宅でドリップすればこれまたうまいコーヒーが楽しめる。
つまり、「安くてそれなりにうまいコーヒーがどこでも飲める」環境がかなり整っているのだ。そんな中で「おいしいコーヒーを飲む」という目的だけで、カフェや喫茶店を目指す人がどれほどいるだろうか。
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