「薄皮たまごパン」7カ月で1200万個の大ヒット ランチパックたまご味と消費シーンがどう違うのか?(2/4 ページ)
山崎製パンの「薄皮たまごパン」が異例のヒットを記録している。2024年1月の発売から7カ月で1200万パックを販売し、圧倒的な存在感を示している。なぜこれほど売れているのか。
「マイナス50点」の出来栄えから大ヒット商品へ
しかし、最初の試作品は「マイナス50点」と評価されるほどの出来栄えだったという。「最も苦労した点は中身のボリューム感を表現することだった。卵のフィリング(パンに詰める具材)を包んで焼き上げる際に、水分が飛んで『焼減り』という現象が起こり、卵のフィリングとパンの間に空洞ができていた」(川土居さん)
この問題を解決するため、卵のフィリングの配合を工夫し、焼減りを抑えつつ、入れた分の具材がしっかり残るよう調整を重ねた。さらに、卵の味わいや食感など、さまざまな課題を一つずつクリアし、半年をかけて納得のいく商品を作り上げた。
こうした努力の結果、「薄皮たまごパン」は独自の特徴を持つ商品となった。一般的な卵系パンと比べても、卵の味わいと食感、具材の量感が最大のポイントだという。薄くしっとりとした生地の中には、ふんわりとした卵のフィリングがたっぷり入っている。
通常、パンの新商品は発売から2カ月程度で入れ替わることが多いが、改良を重ねて発売した「薄皮たまごパン」は7カ月たった今でも高い販売数を維持している。
「薄皮たまごパン」のターゲット層についても、従来の薄皮シリーズとは異なるアプローチを取った。元々、薄皮シリーズは「つぶあんぱん」が定番で、特に50〜70代の高年齢層に親しまれてきた。「今回の総菜パンは、それより若い世代も狙う意図があった」と川土居さんは語る。
結果として、「薄皮たまごパン」は30〜40代の層に好評を得ているという。働き盛りの世代にとって、朝食や昼食時に手軽に食事代わりになる商品は、忙しい日常生活にマッチしている。この点が、若年層に支持される一因となっているようだ。
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