大手企業を“狙い撃ち” 新たなインサイドセールス「BDR」を成功させるポイントとは(3/4 ページ)
昨今アウトバウンド型(企業が接点のない顧客にアプローチする営業手法)のインサイドセールス「BDR」(Business Development Representative)に取り組む企業が増えている。BDRは、自社が狙いたい企業を“狙い撃ち”して、長い期間を掛けて受注を勝ち取る手法だ。本記事では、BDRの特性や注目されている背景、実際に取り組むうえでの注意ポイントを解説する。
意外と有効? 手紙作戦の可能性
BDRのアプローチにおいては、企業リストの中で優先度の高い企業の役職者を調べ、その方に対して実名でレター(手紙)を書く。なぜ手紙かといえば、大手企業の役職者となると、いきなり電話してもなかなかつないでもらえないからだ。
まず入念なリサーチ、課題解決のシナリオ、個別に記された丁寧な提案をセットにして手紙を送る。そこまでして、手紙は読んで頂けたのかとフォローの電話が許されるのだ。
まず、その会社や業界を深くリサーチし、こういう課題があると仮説を明記する。そしてその課題に対して自社はこんなソリューション、こんな取り組みで支援をして価値を出せると説明する。加えて先方役職者のオリジナルの考え、展望について触れながら提案すれば、興味を持ってもらえる可能性は増す。
手紙を書く際には、役職者のプロフィールやインタビューなどを十分にチェックしよう。そして、なぜその人に手紙を送ったのか、その理由も書く。「(あなたは)この役職でこうインタビューでお応えしていて、こんな考えを持っている。であれば当社とのこの取り組みも成功するはずなので、詳しくお話ししたい」など、可能であればここまで手紙で触れたい。
この取り組みは経営陣が相手になる。あまりに長文すぎると読まれないが、かといって説明が拙く、不足していると読む価値がない。
Salesforceなど外資系企業のBDR部門においては、IRの読み込みや役職者の検索方法、同業界の課題解決事例とドキュメント、そこから具体的に手紙に落とし込むフォーマット、手紙の表現、その後のフォロー電話のかけ方までノウハウ化されている。
顧客は大手企業の経営者で、その意思決定を促す一歩がBDRだ。準備や細かさは、まるで戦略コンサルタントのように念を入れなければならない。
手紙送付後は、代表電話に対して電話アプローチを行う。BDRの担当としても、1通にかけた思いは深い。重みを持った手紙となるので、開封してもらえたか、読んでもらえたか、読んで心が動いたか、今後何か取り組みをご一緒出来そうかなど、電話で直接フォローしたい。
SNS情報が分かればそこからメッセージをすることもある。手紙の内容が本当に価値のあるもので、その会社の経営を左右するオファーなのであれば、電話やSNSメッセージは不快感を与えないだろう。
ただ、役職者の方は忙しい。手紙をそもそも開いていない、開いたがちゃんと目を通していない、興味は持ったが返事をしていない……など、なかなか接点が取れないこともある。そのため、リサーチ→プランニング→レターライティング→電話&SNS連絡は、適切な頻度や期間で繰り返す。
先方には電話対応や商談で時間を取っていただくので、聞く価値のある、取り組むことによって本当に費用対効果がでる提案を持っていくことを強く意識する。
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